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人類の意識を変えた20世紀|ジョン・ヒッグス

■20世紀の「大変動」を経て、人類はどこへ向かうのか■
絶対的な時空・権力が崩れ、相対的な時空・個の社会へと大転換した20世紀。ひび割れた世界のなかで、自由と虚無、無意識と不確定性、SFとゲーム、ロック音楽と新自由主義・・などが台頭する。そして、相対性理論とキュビスムが、大量生産と大量虐殺が、先端科学と魔術思想が、カオスと秩序が・・つながり合う。〈大変動〉によって、人類の意識はいかに変わり、どこへ向かおうとしているのか。文化・アート・科学を横断し、新たな希望を見出す冒険が始まる!

H・G・ウェルズ

ウェルズには予測できなかった物事もたくさんある。相対性理論、核戦争、量子力学、マイクロチップ、ブラックホール、ポストモダンなどがそうだ。これらは予期していなかったというより、予期することが不可能だったと言える。ウェルズの予言は、当時の科学界の期待と通じるところが大きい。つまり、すでに明らかになっている物事の延長線上で推測したという点においてだ。実際には、イギリスの天体物理学者アーサー・エディントン卿のものとされる言葉通り、宇宙は単に我々の想像以上に奇妙なのではなく、「我々には想像すらできないほど奇妙」だったと判明することになる。こうした予見不能の新発見がなされていくのはグリニッジでもイギリスでもない。この国では、集まったお歴々が世界の秩序に満足しているだけだ。少なくともしばらくのあいだはアメリカでもない。

僕はSFを読まないが、SF好きな人には頭の良い人が多い印象がある。常に未来のことについて考えをめぐらせ、こんな未来はどうだろうと考えるのはSF好きでなくとも面白いものだ。フィクションであっても、近い将来描かれている未来と同じような世界が訪れるかもということにおいては漫画やアニメなども同じだ。ドラえもんのひみつ道具も今では手に取ることもできる代物も。

不確定性

量子力学の登場はまったく思いがけないものだった。それまで科学者たちは、物質の正体をどんどん小さいレベルまで探求していくことに喜びを感じていた。先にどんな恐怖が待ち受けているかを知りもせずに。原子のレベルまではつつがなく研究が進んだ。たとえば、自然界に存在する九二種類の元素のうち、一つの元素の純粋な塊をあなたが持っているとする。ここでは金だとしよう。金塊を二つに切って片方を捨てても、手元にはやはり金塊が残る。その作業を何度も繰り返していくと、しだいに小さくなるとはいえ、やはり金の破片が残る。その作業を何度も繰り返していくと、しだいに小さくなるとはいえ、やはり金の破片が見つかる。やがて原子一個の大きさにまでたどり着いたとしても、その原子はやはり金だ。ところがここでプロセスが破綻する。原子を二つに割ろうとすると、残ったどちらも金ではなくなるのだ。かつて金の原子をつくっていた小さなかけらの山を手にすることはできても、それは個々の「量子」(それで量子力学という名前がついた)であって金ではない。ちょうど、ピニャータ〔メキシコの祭りで使われる、お菓子などをなかに詰めた紙製のくす玉〕を割ったらお菓子の山と破れた紙が残るが、ピニャータ自体は無くなってしまうのと同じである。

僕たちが生活していく上で様々な物質と共存していくわけだが、より小さな単位を追求していくことにどれほどの意味を見出しているのだろうか。近い将来、全ての物質をゼロから生成して全ての物質を人の手によって作り出せる世の中が来るのだろうか。人間の細胞はその点研究が進んでいて、臓器を一から(ゼロではない)デザインするところまできている。これからはお金さえ出せば自分の細胞を培養して自分の臓器のクローンを作ることによって、取り替えがきくものとなるのも時間の問題かもしれない。

UFO

UFOの目撃談は時とともに変化していった。それらは大衆メディアがUFOをどう描くかと切っても切れない関係にあり、『未知との遭遇』(一九七七年)のような映画が公開されると目撃情報の数も増えた。初期の目撃談には、火星人や金星人に遭遇したというものもあったが、どちらの惑星にも生命が存在しないとわかってからは、遠い銀河からの来訪者という話になった。UFOによる拉致事件、家畜の変死事件、大きい目をした「グレイ」と呼ばれる異星人、果ては「異星人に連れ去られたあげくに肛門を検査される」という思いもよらぬ体験談まで、事細かないくつもの新事実が広く知られるようになる。

UFOの目撃情報や連れ去られた体験談の多くは統合失調症の症状ではと思ってしまう。僕自身、統合失調症で入院中そのような経験をしたことがある。まるで自分が宇宙と一体になったかのような錯覚をしてしまう。原因はよくわからないのだが異星人の仕業と考えるのも面白い。

文化・アート・科学を自在に横断し、新たな希望を見出す冒険が始まる。20世紀に未知だったことの多くは21世紀には判明してきた。これから先22世紀はどんな世界が待ち受けているか僕たちは知ることができないがそうした未来に思いをはせることは面白いものだ。

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