「長年マジメに一生懸命やってきて、いまも変わらないつもりなのに、最近なぜか周囲の目が冷たい」―若者や女性とのコミュニケーションにうっすらとした不安を覚える、昭和半ば生まれのオジサンたち。ズレの根源は、オジサンたちが無意識のうちに引きずっている「昭和」な価値観にあります。何がカン違いで、どうすれば地雷を避けられるのか。若者の心理にも詳しい精神科医からの厳しくも温かいアドバイス。
愛のムチはもう通用しない
「選手たちが憎くてやったのではない。強くしてやりたかった」「それくらい気合いを入れてやらないとメダルは取れない。実力があるのに発揮できていない選手に、力を出してほしくてやったことだ」「選手もわかってくれていると思っていた。告発はショックだった」一部でささやかれていたうさ晴らしやいじめとしての暴力は、全員が口をそろえて否定しており、それはウソではないと思われました。しかし、「愛情ゆえの厳しい指導」が許され、選手にも通用していた時代は終わろうとしているのです。
パワハラはスポーツの場だけのことでなく、会社と名のつくところで仕事をしたことがあれば、上司から叱責されたことが皆無という人はあまりいないのではなかろうか。僕の職場ではそのようなことはなかったが時代の流れとともに、愛のムチという言葉は死語になりつつある。組織上での上下関係の元に放たれる叱責はパワハラだという認識を持った方が無難なようだ。それでも部下に直して欲しいところがあればむやみに叱責するのではなく、どこがどうダメだったのか丁寧に教える姿勢が上司には求められる。昭和の常識は令和ではもう通用しません。叱責を受けた側が、「部下や後輩を育てたいという愛がゆえ」などと解釈するとは限らない以上、愛のムチはNGということだろう。
過去の栄光を忘れられない人は危険
昔はもっと活躍してたのに。昔はもっと大切にされてたのに。昔はもっと女性にもモテたのに。昔はもっと夢があったのに‥‥。オジサンたちの心の中にいる〝昔の自分〟は、いつも実際以上にキラキラと輝いているのかもしれません。また、年齢を重ねれば体力や記憶力などは衰えが出てくるものですし、働ける時間が減少すればもしかすると収入が若いときより下がるかもしれません。しかし本当は、それは失敗、敗北、堕落などではなく、「そういう場面を迎えたのだ」というだけのことでしかありません。また自分を〝昔の自分〟と比較して嫉妬したり恨んだりしてみても、そこで何かが解決するなどということはありえません。脳の変化も起きてきて、感情を抑えるのが不得意になっているとはいえ、「昔の自分と今の自分とのギャップに耐えられなくて」といった理由で、誰かを殴ったりモノを盗んだりしてしまっては、人生は台無しになってしまいます。
歳を取ってくるとどうしても昔の自分との比較で物事を考えがちですが、そういった過去の栄光にしがみついている人は危険。人間歳をとると衰えてくるところもあれば、伸びてくるところもあることを認識し視点を変えることが重要。若い頃になかった今の自分にあるところにフォーカスを当てれば歳をとるのもそう悪くないと思えます。若い頃は尖っていた自分も歳をとるにつれ丸くなり、ちょっとしたことに動揺しなくなったり、許すことができるようになります。歳をとるのも悪くないと思える箇所を見つける努力が自己肯定感につながります。
情弱オジサン
ネットというメディアとのつき合い方、ネットに関していわゆる「メディア・リテラシー」があまり身についていない世代に生じがちです。ネットの世界では、このメディア・リテラシーがないためにネットのおかしな情報を鵜呑みにする人などは「情報弱者=情弱」と呼ばれています。私は大学で若い学生たちとも接していますが、彼らはものごころついたときからネットと接していたこともあって、ニセモノの情報を見分けるカンも備えていることが多いのです。
オジサンになってスマホを初めて手に入れたオジサンが陥りがちなのが、YouTubeやブログなど個人が自由に発信している内容を鵜呑みにして信じ込んでしまうこと。もちろん有益な情報を提供してくれるチャンネルやブログなどもあります、しかし、そこには収益化を狙ってブログやYouTubeの動画をバズらせることを目的として作られた情報も存在することを認識していなければなりません。情報も玉石混淆だということを理解し、動画のサムネイルが煽っているなと感じたら注意深くなる必要があります。テレビと違ってYouTubeなど動画配信サービスは視聴者のチェックが入りにくい構造となっているため、より過激な内容を含んでいる場合があります。刺激的なのが悪いわけではありませんがそれに踊らされると、延々と同じような内容の動画を勧められるがままに見ることになります。
いわゆるオジサンと呼ばれるようになった人たちに向けた注意喚起の書籍。昭和生まれのオジサンが勘違いしがちな項目を客観的視点で注意していきます。パワハラやセクハラ、キレるオジサン、情弱に文化系説教オジサン。上昇志向オジサンに子供部屋オジサン。自分に一つでも心当たりがあればそれは令和の時代には受け入れられない価値観かもしれません。
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