2018~2023年、「仕事消滅」の前にホワイトカラーを襲う大変化!
「AIに仕事を奪われて失業する?まだだいぶ先の話でしょ」
これから20年ほどで人間の仕事の約半分が人工知能や機械に奪われるという予測があるが、今は警告を気にしない人が多数派だ。たしかに、本格的な「仕事消滅」が始まるのは2025年以降とも言われている。
しかし、「人工知能が引き起こす労働環境の大変化はすでに始まっている。特にホワイトカラーは今後5年で残酷な変化に襲われることになる」と著者は予言する。
いったい何が起きるのか? いま何をすべきなのか? 徹底予測&解説!
まず専門領域の仕事から消滅していく
まず大きなマイルストーンを示すと、これからの10年間で専門家の仕事が消滅していく。これは2012年に深層学習を始めた人工知能が、専門型人工知能だからである。2015年にグーグルが開発したアルファ碁が人類最高峰のプロ棋士を破ったニュースを覚えている方は多いと思う。囲碁のような閉じられたルールの中で、囲碁専門に戦略を学習するというのは、現在の人工知能のもっとも得意とするところである。
囲碁のルールを覚えさせた後、プロ棋士たちの過去の対戦による棋譜を学習させていき、最終的にどちらが勝ったかという情報を頼りに手を打つ。囲碁のルール内でどう打つと有利になるかを学習させるのだ。人間でこれをやろうとすると記憶力や記憶スピードの問題で人工知能に勝つことは困難だ。こうした専門的な深層学習により有利になる職業はこの先どんどんAIに取って代わられるだろう。
猫の画像を何万枚も学習させ「これは猫である」とわかるようになるように、CTやなんかの画像を解析して腫瘍や病気の元を発見するなんてこともこれからは医師ではなくAIが行うことになるだろう。病院には患者のケアをする看護師だけ職場にいてくれたら、医学の知識から専門的な判断を下す医者は存在しなくてもいい時代がやってくる。もちろん診断だけでなく手術などの治療が必要な場合まだ医師は必要だが。人工知能の医師の優位点は、日々更新される広範囲の論文や症例を簡単に学習できること。実際の現場でも100万人に1人のレアな症例でも初期診断で可能性として検討することができる。
弁護士の世界でも過去の判例を検索して資料をまとめるなんて仕事はすでにAIに取って代わられる大手弁護士事務所もあり、この先もどんどん普及していくだろう。
自動運転車に搭載される人工知能も運転専門の人工知能だ。交通ルールと車道についての画像情報、そして行き交う車両や歩行者の動きから自動運転を学習する。事故について見てみると原因は、スピードの出し過ぎや交通ルールを守らなかったことによるものが多く、それは人間のミスであることが多い。ならば人工知能のお任せした方が事故は減る。ある領域に限れば人工知能の方が人間よりも賢い存在になるということはすでに起こっている。これから10年まず最初に専門家の仕事がなくなっていくのだ。
AI失業が「金融」と「運輸」から始まる理由
自動車がすべてを人工知能で完全に運転できるようになれば、世界の運輸市場と物流市場に革命が起きる。世界中の自動車メーカーがレベル5と呼ばれる完全自動運転車の完成に向けて研究開発投資を続けており、2022年には最初のレベル5の車が市販されると言われている。そのターゲットに向けて、世界中の投資がこの市場に集まってきている。そしてもうひとつ、1兆円をはるかに超える投資が行われているのがフィンテックの分野である。金融商品の運用、売買、銀行融資、生命保険サービスなど、金融の市場はばかでかいうえに、そこで生まれる利益は莫大なものがある。
物流業界や運輸業界にとっては2022年の完全自動運転車の登場は救世主となる。なにせドライバーが不足しているうえに人件費がばかにならない。1台1000万円のトラックを使っていた長距離運輸会社が完全自動運転のトラックを1200万円で購入したとしても、トータルコストは安くなる。Uberの自動運転車による公道での試験走行中に人身事故があったが、それでも人間が運転するよりも自動運転の方が危険は少なくなっていくだろう。
株取引などはどの証券会社も人工知能が自己売買部門に主戦力となっている。そして人工知能のカモにされるのが人間のトレーダーである。ひとたび人工知能が売りと判断し積極的な利益確定に転じるとあれよあれよという間に株価は売り圧力に押されてしまう。そして人工知能による売りに振り回されるのは人間のトレーダー、焦って投げ売りする羽目に。お金を失うのはアナログなトレーダーたちなのだ。
ロボットや人工知能と人間が共存し繁栄する未来。アニメや映画でもそういった世界が描かれることも多いが、このような幸せな未来を実現支えるために必要なもの。それはGDPの減少分と等しい170兆円のベーシックインカム。1人あたり140万円のベーシックインカムが毎年支給されれば、働く時間がAIに代替され半減しても同じ生活水準を保てる。AI失業前夜こうした施策も同時に考えていかなければならない。
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