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「香り」の科学 匂いの正体からその効能まで|平山令明|香りの神秘を最新科学で解き明かします

人は新しい香りをどのようにして作り出しているのか?香水やアロマオイル、シャンプーや石鹸などの香りは私たちの体にどのような影響を及ぼすのか?香りの神秘に触れ、最新の科学でそれらの秘密を解き明かします。

香水の分類

香水は複数の香りの分子を混合して作られますので、調合香料と言います。調合香料には天然の香料だけでは出せない香りの質があります。しかし、多くの人が共通して好む香りの傾向があり、それらをグループ化することができます。またそれらのグループに近い香りを「~調」と呼ぶことが多いので、その特徴を理解しておくと、比較や選択をする時に便利です。

フローラル調

このグループに属する香水が一番多く、やはり花の香りが多くの人にとって心地よいことが分かります。最も頻度が高く使用されている花の香りは、バラ、ジャスミンそしてスズラン(フランス語のミュゲで呼ばれることが多い)の香りです。これ以外にも、スイカズラ、クチナシ、スミレ、ライラック、イランイラン等々たくさんの花が使われます。単一の花の香りを際立たせた香水もありますが、複数の花の香りを束ねてブーケ調にした香水も多くあります。何度も出てきますが、1921年に有名な調香師エルネスト・ボー(Ernest Beaux)によって創製されたシャネルの5番もフローラル調の代表です。含まれるアルデヒドが特徴なので、フローラル・アルデヒド調とも言われます。この香水の中でフローラル調を演出しているのがイランイラン、ネロリ、アイリス(アヤメ)、ジャスミン、スズランそしてバラの香りです。正にアレンジされたブーケのような香りが、大人っぽい背景から際立ってくる感じがします。

シプレ調

シプレ(chypre)とはフランス語でキプロス(島)を意味します。1917年にコティ(Coty)社で創製されたコティ・シプレ(Coty Chypre)に始まった香りのグループです。シプレ調の大きな特徴は、最初に立ち上がる新鮮で強いインパクトのある柑橘系(シトラス)の香りと、その背後にあり後から香ってくるモッシーそしてウッディなオーク・モスの香りおよびムスクの重く穏やかなな心地の良い香りのコントラストにあります。音楽では和音の響きが重要な役割を果たします。香り、特に複数の香りを調合して新しく作られる香りの場合もその香りの組み合わせによるハーモニーが重要です。音楽と同じように、これをアコード(accord)と表現します。シプレ調のアコードは男女問わず多くの人に好まれたために、このアコードをコンセプトとしたさまざまな種類の香水が作られ、今でも多くの人によって使われています。クリスチャン・ディオールが1947年に発表したミス・ディオール(Miss Dior)はシプレ・フローラルと呼ばれる特徴を持っています。この香水には、シプレ調の要の1つであるベルガモットも含まれていますが、最初に香るのはアルデヒドとクチナシなど甘い香りが背景にあるガルバナムの刺激的なグリーンです。シプレ調と謳っていてもずいぶんとニュアンスの異なる香りがあります。音楽で言えば、同じ調やコード進行であってもさまざまなメロディがその上に乗るようなものです。

フゼア調

フゼア(fougere)はフランス語で「シダのような」を意味する単語です。シダ自身は日陰の森の下草の緑を思わせる香りを持ちます。シダ自身の香りを知る上では、ウビガン(Houbigant)社の古典的な香水フゼア・ロワイヤル(Fougere Royale, 1882)があります。しかし、多くのフゼア調の香水はシダを使っているわけではなく、特に男性用のフゼア調はラベンダーを基調にしてオーク・モスの渋さとクマリンなどの甘さを加えた香りです。フゼア調の香水は、爽やかでヒヤッとする湿った苔のような、ハーブを思わせる香りを特徴的に持ちます。クマリンはフゼア調の決め手になります。フゼア調は男性用の香水に多く見られます。代表的な例の1つはカルバン・クライン(Calvin Klein)社のエターニティ・フォー・メン(Eternity for Men, 1990)です。クマリンの香りに敏感な人は、最初からクマリンの香りがしてきます。

香水の香りの種別は様々だが大きな括りはこのようなもの。各々好き嫌いはあろうが自分の好みの傾向から選択するための基準となることも。

香水にみる香りの分子の組成

香水の香りの構成を少し知ると、香水の楽しみ方も大分変わります。この節では、日本で現在好まれている男性用と女性用香水を各々2種類ずつ取り上げ、それらの香りの分子の構成を簡単に見てみたいと思います。これらの香水に含まれる成分の性質を 表 11‐3 に示します。報告されている沸点に幅のある場合には、低温側の沸点を示しました。蒸気圧は 20 ~ 25 ℃で測ったものです。

男性用の人気香水の1つはブルガリ社のブルガリ・プールオム(Bvlgari pour homme)です。6種類の香りの分子がパッケージには記載されています。沸点から判断すると、トップ・ノートにはリモネンとリナロールがおもに寄与しています。したがって、シトラスでスイートな香りが先立つことが予想されます。ミドル・ノートはシトラール、ゲラニオールそしてヒドロキシシトロネラールで構成されますので、レモンのようなシトラスが尾を引きながらも、バラやユリも感じさせるスイートでフローラルな香りがしばらくの間続きます。ベース・ノートはリラール(ヒドロキシイソヘキシル‐3‐シクロヘキセンカルボキシアルデヒド)でもっぱら作られていますので、ミュゲやシクラメンの香りが最後まで残る軽やかな花の香水であることが分かります。この香水は筆者の使用したことのある香水ですが、ほぼこのような香りの変化を実感できます。もう一つの男性用香水はアラン・ドロン(Alain Delon)社のサムライ(Samourai)です。 11 種類の香り成分分子が商品に表示されています。沸点で判断すると、トップ・ノートに寄与するのは、リモネン、リナロールそしてベンジルアルコールです。したがってこの場合もトップ・ノートはシトラスな香りですが、そこにベンジルアルコールが加わるため、バラ様のフローラルな雰囲気が加わり香りに丸みも感じます。ミドル・ノートは、シトロネロール、シトラール、ゲラニオールそしてブチルフェニルメチルプロピオナールから構成されますので、シトラスな余韻を残しつつ、バラやミュゲの香りを感じさせるフローラルで明るく華やかな雰囲気になります。ベース・ノートはα‐メチルイオノン、クマリン、リラールそして安息香酸ベンジルからなります。落ち着いたフローラルな中にウッディ、バルサムそしてハーバルな香りを静かに感じさせます。筆者の場合、蒸気圧の高いクマリンの香りが比較的強く、ミドルから感じてしまいます。

香水初心者向けなのがブルガリ・プールオムと言われていていまだに高い人気を誇っていますが、僕は正直可もなく不可もないこの香水はあまり好きではありませんでした。僕の愛用している香水はJO MALONEの香水各種(ほぼ外れなし)とMaison Margielaのレプリカシリーズ、Lazy Sunday Morning、男性っぽさを出したい時のDiorのSAUVAGE、TOM FORDのBLAK ORCHIDなどを使い分けています。香水沼にハマるととにかく新しい香りを追い求めるようになり、自身のお気に入りを見つけるまで香水各社に貢ぐ羽目になるので最初は誰かのおすすめを買うか、きちんとサンプルで確認してから買う。香水のサブスクなどで自分のお気に入りを探すことをお勧めします。50ml、100mlというとなかなか使い切らないと思うので。

香りを科学する書籍。香水やアロマなど香りを選ぶ際の指標やその成り立ちを知ると香り選びもレベルアップします。ぜひ自分の好みの香りを見つけるきっかけに。

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