スティーブ・ジョブズが、ビル・ゲイツが注目する、21世紀のイノベーションの源泉がここにある!パーソナルコンピュータが時代を大きく変えたように、これからはテクノロジー×オープンソース×生物学が私たちの人生を劇的に変えるはずです。そして、それはすでにガレージで始まっているのです。
自分で科学する
映画『ブレードランナー』には、人造人間が怪しげな店先で新しいボディーパーツを買うシーンがある。一方、こちらはクリスマス直前のサンフランシスコ、とあるアパートの一室。ダイニングテーブルの上で、独学の生物工学者メレディス・パターソンが遺伝子を組み換えていた。パターソンが作ろうとしているのは人造人間ではないーー少なくとも、いまのところは。だが、彼女の自宅ラボは、数世紀後に遺伝子工学で生み出された人造人間が回想シーンで、「すべてはここからはじまった」とでも語り出しそうな舞台装置に見える。パターソンのアパートの流し台とカウンターには、汚れた皿が倒れそうなほど積み上がっている。コンクリートブロックで組み立てた棚には、SF小説、コンピュータ・プログラムや暗号関連の分厚い参考書がぎっしり。床にはむき出しの電子部品が入った開きかけのダンボール箱が散乱し、そのあいだを数匹の猫が縫ってあるく。コンロの上部には、あらゆる色と種類のスパイスが、同じ形をした透明のキャニスターに収まって等間隔に並ぶ。部屋全体が乱雑な中、スパイスだけが不思議に秩序立ったディスプレイになっている。
スティーブ・ジョブズがガレージからイノベーションを生み出したのと同様に、生物学の分野でもテクノロジーとオープンソースを組み合わせDIYながら研究を続ける人々がいる。そうした人の一人のメレディス・パターソンの自宅を描写しているのだが、なんとなく共感が持てる。自分の趣味や興味の領域については整理整頓が行き届いているがそれ以外が乱雑。僕の部屋もレコードや本は整然と棚に収まっているがそれ以外は無造作に散らばっている。それでも最近断捨離を行うようになり使っていなかったDJ機材やもう読むことはないであろう本、買い換えて起動すらしなくなったMacBookProなどを売却した。どれももう使わないものなので、20万円ほどになりホクホクしています。
ハッカーを自称し他人からも認められる条件の一つとして、「なんでもいじらずにいられない」という性質がある。パターソンもその性質の持ち主。そうした振る舞いは〝ティンカー〟と呼ばれ、創造力の本質だ。注意しておきたいのはここでいう創造力とは、芸術家や天才が何もないところから閃いて何かを出現させるようなロマンチックなものではない。そうしたものとは種類も精神も違う。シリコンバレーではマドルスルー(泥をかきわけ進むこと、先行きが見えない中、手探りで困難に立ち向かうこと)できるか否かが大事というがそれに似ているものと考えればいいだろう。
生物学の世界での失敗は生命を脅かすことも
たとえば、自宅ガレージでホンダのシビックを、映画『ワイルド・スピード』に出てくる日本車のように改造しようとしてエンジンがかからなくなったとしても、その車を殺したことにはならないーーソケットレンチを手にクランクを回していれば、いつかは動くという意味で。新しいソフトを入れたらパソコンが動かなくなった?初期化すればいい。一方、生物学の世界では、試行錯誤や些細な失敗で誰かを本当に死なせてしまう可能性がある。だからこそ、機材を厳重に管理し、消毒された明るくてクリーンな環境で行うというのが、ウェットラボの大前提とされてきた。
滅菌されたクリーンな環境で行う研究。しかしそういった環境が与えられるのはごく一部に過ぎない。その施設を管理運営するために、バイオテクノロジー医薬品は製薬業界の市場でも飛び抜けて高価になっている。ジェネンテック社の売上ナンバーワン商品である薬を服用するには、年間10万ドルもかかる。そのためか設立当初は小さかった会社でもあれよあれよというまに大企業となる会社も。バイオハッカーが価格を引き下げると、従来型のベンチャー資本を牽引するビジネスモデルが崩れるが、それは実用的になるという意味でもある。
バイオハックの今後
バイオハッカーたちにはあ今後一〇年以内に自宅のラボなど必要なくなる、と彼はいう。楽しみのためにウェットラボ作業をやりたいのなら別だけれど。バイオハックはみんな、カフェでできるようになる。ノートパソコンを開いてクロトーのような設計ソフトウェアを使えば、遺伝子生成物を生み出せる、とアンダーソンは予測する。「まずは、この種の作業の多くがアウトソーシングされるようになる」とアンダーソンは言う。すでに、ミスタージーンのような会社でオーダーメードのDNA断片を購入することが可能になっている。だが長大な配列を合成するのは現在でも膨大な経費がかかる。平均的な学内ラボにとっても、個人にとっても。だからこそ、彼の教え子たちは今でも大学のラボで、根をつめてアッセンブリー作業をしているのだ。
大規模な施設がなくても設計ソフトウェアで遺伝子生成物を生み出せるようになればますます、裾野は広がるだろう。
この本が書かれたのが2012年だからもう5年が経過している。科学の進歩が僕たちの生活を豊かにしたり、治らなかった難病が治ったり。DIY科学者の戦いは今日も続いている。
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