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脳を最適化すれば能力は2倍になる|樺沢 紫苑

7つの脳内物質(ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリン、アセチルコリン、メラトニン、エンドルフィン)。聞いたことはあるけど脳内でどのような働きをしているかはいまいちよくわかっていない。そんなど素人にもわかるように、精神科医の著者が丁寧にレクチャー。

モチベーションを自在に操る

例えば、ドーパミンは前頭葉の前頭連合野の「ワーキングメモリ(作業記憶)」と深く関わっています。このことからドーパミンの分泌は、情報処理能力、注意・集中力、計画性などにも影響してきます。海馬・側頭葉においては、学習・記憶とも深く関わっています。ドーパミンが分泌された状態では、物覚えがよくなります。このA 10 神経からのドーパミン神経系は、欲求が満たされたとき、あるいは満たされることが分かったときに活性化し、快の感覚を与えるため「報酬系」と呼ばれます。報酬系の中でも重要な役割をするのが、大脳辺縁系の「側坐核」と呼ばれる部位です。側坐核が刺激されると、 即座 にドーパミンが分泌され「快感」が生まれます(笑)。この快感と「行動」が結びつき、さらなる快感を得ようと、次の行動のモチベーションが高まります。これが報酬系の働きです。だからこそ、ドーパミンは人間の学習、行動の動機づけ、環境への適応と密接に関わっています。「より多くの快感=より多くのドーパミン」のために、人間はどこまでも高みを目指すのです。

報酬系を自在に操り、モチベーションを上げるにはドーパミンの分泌を促す行動を生活や仕事に落とし込むこと。どんな時にドーパミンが分泌されるのかがわかればモチベーションを上げるスイッチを握ったも同然。目標設定をしっかりして、達成された時にご褒美をあげることで、より高みを目指していくサイクルを身につけていこう。

リフレーミングで「つらい」を「楽しい」に変換

目標達成した自分をありありと想像すれば、「よし、やるぞ!」「頑張ろう!」と、モチベーションがあふれてきます。しかし、目標に向かって努力しているのですから、いくら楽しくやろうと心がけていても、「つらい」「苦しい」と感じる場面はあります。こんなときは考え方を変えて、つらいことを楽しく実行しましょう。物事の枠組みを切り替える「リフレーミング」という心理学手法を用いれば、決して不可能ではないのです。同じ物事でも、人によって見方や感じ方が異なります。ある角度で見たら長所だったことが、違った角度から見たら短所になります。試験で残り時間が 15 分あったとします。悲観的に考えたら「もう 15 分しかない」と思いますし、楽観的に考えたら「まだ 15 分もある」と思えます。こうした状況で「まだ 15 分もある」と考える癖をつけておけば、苦しい場面でもポジティブな一面を見つけ出すことができます。習慣的にリフレーミングができるようになるためには、日頃からの練習が必要です。日頃の仕事や生活の場面でネガティブな考えが浮かんできたら、すぐにポジディブな表現に置き換えてみましょう。

リフレーミングは努力をしている真っ最中につらいと感じるのを抑制したりする効果のほか、アイデアの創出にも役立ちます。一度俯瞰してみて、鳥の目で見下ろしてみましょう。リフレーミングが習慣化すれば、ポジティブシンキングに切り替えるのがうまくなります。

絶対に24時間も戦ってはいけません

アドレナリンは、私たちにとって、敵なのか、味方なのか?結論から言うと、「強力な味方」でもあり「命をおびやかす敵」でもあるのです。アドレナリンは、いわば「勝負物質」です。危機に瀕したとき、ピンチに直面したときなど、ここが勝負という場面で、われわれの未知のポテンシャルを引き出してくれます。その意味では、間違いなく強力な味方です。しかし、「アドレナリン」を出していると、自らの実力以上のパフォーマンスが引き出されます。この魅力に逆らいきれず、日常生活でもついつい、アドレナリンの力を借りたくなることがあります。アドレナリンの快感に身を委ねてしまい、興奮や危険や恐怖を求め続けたくなるわけですね。先ほどご紹介したアドレナリン・ジャンキーです。24 時間戦い続ける。残業している自分が好き。 「俺って仕事が大好き」と口にする。休日出勤する自分に自己満足を感じる。こうした人たちは、アドレナリン・ジャンキーであり、さらには仕事依存症に陥っているかもしれません。

僕は中学生の頃、不良グループに呼び出されて難癖をつけられ、殴られたことがある。その時はアドレナリンが出ていたためか全然痛くなかったのですが、数時間経ってから顔が腫れてようやく殴られた実感が。アドレナリンは分泌すると通常時とは比べ物にならないパフォーマンスを発揮しますがそれは一時的なもの、ハイパフォーマンスは一時的なものと考え、休息はきちんと取りましょう。エナジー系ドリンクを飲んで仕事を頑張る人もいますが、あまりお勧めできません。

脳の構造を知って、どんな時にどのように作用するのかがわかれば、脳力によって能力が最大化できます。そんな脳内物質のお話。

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