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新装版「エンタメ」の夜明け ディズニーランドが日本に来た日|馬場 康夫 |東京ディズニーランド誕生までを追うノンフィクション

日本のエンターテインメントビジネスを常に牽引してきた小谷正一氏、堀貞一郎氏、両名の奇跡を草創期から東京ディズニーランド誕生までを追う。二人が魅せられたディズニーというエンタメ界の巨人にスポットを当てつつ究極のテーマパーク招致までを描く。

史上最大のプレゼン

そもそも、三菱か三井かという以前に、ディズニーが日本を選ぶか、という問題があった。日本はディズニーとおよそ縁の薄い極東の小国である。ディズニーファンの数でいえば、南米やフランスの方がずっと多いはずだった。

さらに、気になる情報もあった。1950年代末、 松 竹 系列の千土地 興行という不動産と興行の会社(全盛期には、かしまし娘、 夢路 いとし・喜 味 こいし、 中田 ダイマル・ラケットなど、関西お笑いスターの大半を 擁していた)が、奈良の旧日本軍の兵舎跡に『ドリームランド』という遊園地を造ろうとして、 50 年代にディズニー映画の日本での配給権を持っていた大映を通じて、ディズニーと接触。「将来、一緒に日本で事業をしたい」と申し出て、ロスのディズニーランドを裏側までつぶさに見学させてもらい、その後、ディズニーの了解なしに、システムをそっくり 真似 した遊園地を造ったため、ウォルト本人が生前日本人に対して強い不信感を持っていた、というのだ。

そんなわけで、この時点で、後発の三井の誘致計画が実現する可能性は、限りなくゼロに近かったのである。

が、とにもかくにも、カードン・ウォーカーは、金子の進言を受け入れ、日本に飛んで、三菱・三井両社のプレゼンを改めて日本で受けることを決める。

ロサンゼルス支店の澤登からの報告で、三菱が東宝と組んでいることを知った三井不動産本社は、ディズニーと 繫がりの深い東宝を敵に回しては勝ち目はないと考え、ディズニー首脳陣の来日を間近に控えた1974年秋、三井不動産社長の江戸英雄 が、東宝副社長の 馬淵威雄 に親書を送り、今回の競合プレゼンで中立の立場を取るよう、説得している。

これだけ大きな招致案件だとその熱意もすごかったのだろう。巨人を落とすためにできることは全て!そもそもディズニーは日本に来るのか?という問題もあった。そんな中行われたプレゼン、まさしく史上最大のプレゼンだったであろう。

利権の海

東京湾に遠浅の長い海岸線を持つ千葉県では、1950年の川崎製鉄の工場用地の埋め立てを皮切りに、千葉・市原・袖ヶ浦・木更津・君津など各市で海浜の埋め立てが進み、そこに大企業のコンビナートが次々に建設された。その埋め立て事業には絶えず黒い利権の噂がついてまわった。とりわけ、批判の対象となったのが、丹沢善利の朝日土地興業による土地ころがしである。

丹沢善利は、遊園地・プール・大浴場・大小 30 の宴会場等を備えた総合レジャーランド、『船橋ヘルスセンター』の経営者であった。1955年に完成した同センターは、 60 年代初期の最盛期には年間で500万人近い客を集め、戦後 勃興 期の日本を代表するレジャー施設となっていた。同時に、ヘルスセンターや遊園地として認可を受けて埋め立てた土地の一部を住宅地などとして転売。巨額の利益を得て、「利権の海」とも称された。

浦安沖公有水面の埋め立て事業も、そもそもの発案者は丹沢善利である。浦安で埋め立てられたのは、263万坪。この263万坪のうち、最終的には、遊園地用地として 64 万坪(首都圏3300万人のレジャーに供する施設を建てることと、厳しい利用制限が建設省からつけられていた)と、住宅用地として 40 万坪の、計104万坪が、1坪約1万7000円という安さで千葉県からオリエンタルランドに払い下げられた。そしてオリエンタルランドは、 40 万坪の住宅用地を、三井不動産や 京成電鉄に売却して、数十億単位の利益を得、さらに、三井不動産や京成電鉄も、その土地を造成して転売し、巨額の利益を得た。浦安の埋め立て事業も、初めのもくろみは、土地売買で利益を得ることだった。

が、エンタテインメント・ビジネスの聖地、ディズニーランドは、そんな 思惑 とは無縁の、はるか高みに存在した。

浦安の埋立地でのディズニーランド出発。埋立事業とか面倒臭いしがらみとかそんなものを超越した存在、それがディズニーランドだったということだろう。僕のように人生で2回しか行ったことのない人もいれば年間パスポートで何度もお金を落としにくる人たちもいる。そんなファンの多いコンテンツが揃うここディズニーランドでは更なる進化をやめない。永遠に完成しないというのは確かに当たっている。

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