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反省記|西 和彦

ビル・ゲイツのもと、マイクロソフトを牽引し、創業したアスキーを当時最年少で株式上場させた男。しかし、マイクロソフト、アスキーからも追い出される。栄光と挫折を味わった天才がその舞台裏を明かす。

人生とは実験の連続

僕は、人生とは実験なのだと思う。人は誰もが、初めての人生を生きている。もし、生まれ変わりがあるとしても、前世の記憶はなかなか 蘇らない。自分の言動がどのような結果を招くのかわからないまま、行動を起こさなければならない。それが、人間の生きている条件だ。であれば、人生とは実験の連続というほかないではないか。 つまり、僕には、過去にしたことで自分が失敗だと思ってきたことが数多くあるが、実はそれらは、その後の人生のための大切な実験だったということになる。失敗と思って後悔ばかりして、反省をしなければ失敗は永遠に失敗である。自分を責めないでクールに実験と捉えることによって、はじめて過去から 虚心坦懐 に学ぼうという気持ちになることができるのだ。成功のきっかけとしての実験となることができるのではないか。 だから、僕は、自分の今までの人生を後悔していない。 未来を自分で決めてきた結果なのだから、その結果は素直に受け入れるほかない。大切なのは反省することだ。そのためには、過去の出来事に対して、〝why〟と問い続けることだと思う。そして、僕には幸か不幸か、〝why〟と問うべき「実験結果」が山のようにある。たいへん高くついた学習体験ばかりの人生であったと苦笑いするほかない。

人にはいくら勉強してもその先には未知の世界が待っていたりする。そんな初体験の連続によってのみ人は成長するのだ。経験を重ねるにつれて人生において経験済みの事象が増えていき、次に同じような局面にブチあたった時に威力を発揮する。それは成功体験のみならず、失敗から学ぶことも多いだろう。そんな最前線で苦渋を味あわされてきた人物の反省記がここに。

ビジネスの「善」と「悪」

そこで、一計を案じた。 まず、郡司さんと僕の二人組で、秋葉原など売れそうな地域の書店を訪問する。最初に雑誌を抱えて店内に入るのは僕だ。そして、書店員さんに声をかけ、「この雑誌を創刊しました。お店に置いていただけませんか?」と頼む。十中八九は、「そんなものは置けないよ」と断れてしまうのは見越した上だ。案の定断られると、こう言う。 「ちょっとトイレを貸していただけませんか?」 「ああ、いいよ」 ここで、こう頼む。 「じゃ、ちょっとこの雑誌、ここに置かせてくださいね」 そう言われて、「ダメだ」と言う人はいないから、書棚のうえに雑誌を置いて、僕はトイレに消える。 そこへ、郡司さんが「客」を装って店に入ってくる。書棚をプラプラと見て歩いているフリをしながら、僕が置いた雑誌の前を通り過ぎたときに、「ハッ」と驚いたように引き返して一冊を手に取る。ページをパラパラとめくりながら、目玉記事に目を止めると、十数秒じっくりと読み込み、感心したような表情を浮かべてみせる。そして、レジに向かって「これください」とやるわけだ。 これには、書店員さんも「エッ」となる。ほんの数分店頭に置いた雑誌が、あっという間に売れたのだ。「ひょっとして、この雑誌売れる?」という考えがよぎるのが自然だろう。そこへ、再び僕が登場する。トイレを貸してもらった御礼を伝えて、雑誌を抱えて出て行こうとすると、「ちょっと待って」と声がかかる。そして、「今一冊売れたんだ。精算もしなきゃいけないから、その雑誌仕入れるよ」となるわけだ。

これと同じようなことが音楽業界でも。King Gnuがまだ売れない頃に集客力があると見せかけるために、家族や友人などありとあらゆる人脈を駆使して客を集めて業界の人たちの目を引いたエピソードをテレビで話していた。売れるためには時には泥臭くなれる人が生き残るのだなと感心したことがある。

失敗をしたから「本質」が見えた

では、何が足りないのか? ずっと考え続けて、ようやく気づいた。ネットワークが足りないんだ、と。 電話もテレビも、ネットワークで結ばれているから、一家に一台ずつ普及しているのだ。車もそうだ。道路網というネットワークで結ばれているから、みんな車を買う。道路網が整備されてなければ、ランボルギーニが 10 万円で売られてたって、誰も買わないだろう。道路網がなければ、どんな高級車もただの「箱」にすぎないのだ。 それは、パソコンも同じはずだ。パソコンも、ネットワークがなければただの「箱」。ネットワークで繋がれてはじめて、一家に一台の必需品になるのだ。僕は、『月刊アスキー』の創刊号で、「コンピュータは対話のできるメディアなのだ」と書いた。それは間違ってはいない。しかし、因果関係が逆だったのかもしれないと思った。 パソコンがネットワークされて、対話できるメディアになったときに、はじめてパソコンは本格的に普及するのだ。つまり、パソコンは、ネットワークされることによって、はじめて「パーソナル・コンピュータ」になることができる、ということだ。 僕は、この「本質」を、MSXの失敗を通して学んだ。そして、この学びが、後のパソコン通信事業「アスキーネット」へとつながっていった。

インフラとしての商品価値は今ではスマホなんかがそれに当たる。ちょっと目先を変えればサブスクリプションサービスなんかもインフラの一つになりうる。AdobeのCreativeCloudなんかもプロがこぞって使っていることによってアマチュアにもその影響力を及ぼすサービスに。一種のインフラと化している実情がある。

ビル・ゲイツらとともにパソコンの最前線で戦ってきたが、その実力と裏腹に「負け組」と称される不本意な人生を送った天才の生き様を追体験できる面白い書籍。成功者の書籍は数多く出回っているが、失敗から学ぶこともあるよね。

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