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統合失調症の治療ポイントを14の治療例とともに紹介!

      2018/09/11

完治が難しいとされる統合失調症。筆者は精神科医40年、臨床心理士24年のキャリアから、治癒改善した14例を挙げて治療ポイントを示す。治るかどうかは、患者本人・家族・治療者の自覚と治療意欲・工夫にかかっている。その工夫の仕方を、実際にはどうしたらいいのか具体的に示した。幻聴・妄想・治療拒否に焦点を絞り、その治療のポイントを述べる。医師、患者、家族に読んでほしい本。

統合失調症と精神病

統合失調症は、「代表的な精神障害で、他人に監視されたり他人の考えが吹き込まれるという妄想や幻覚、まとまりのない思考と奇異な行動が急性期の特徴。慢性期になると感情や意欲が乏しくなるという人格の変化や孤立して社会的な関係が他と結べなくなるなどの傾向がでてくる。人類の歴史以来あったはずで、有病率は一%である。予後は改善する場合もあれば、長期的な人格崩壊の場合まで、多様である」(『ブリタニカ百科事典』(1))とされています。このように何となく深刻で恐ろしいイメージがあります。 事実、統合失調症は、昔は精神分裂病と呼ばれ、ずいぶん恐れられていました。現在では治療も進歩していますが、それでも患者・家族の苦悩は激しいものがあり、深刻な病気であることに違いありません。

僕は統合失調症を発病してから10年以上が経つ。一番症状が重かった時は電車に乗っていてもおばさんにつけられている感じがして(妄想)、それをまくためにわざわざ電車を降りて一度一駅戻ってからまた帰路についたことも。道を歩いていても「目が見えない人を見つけて、そいつをつけて家に入って金品を奪え!」などといった内容の命令がひっきりなしに聞こえてきて(幻聴)大変な思いをした。今でもトイレに入ると「早く死んだほうがいい」とか色々な言葉が聞こえてくる以前と比べたらだいぶましになってきてはいるが、定期的に不安や思考停止の発作が起こり日常生活に影を落とす。精神分裂病と言われていた時と比べれば、社会も統合失調症に対する理解が進んだように思うが、それでも未だ偏見が根強く残っているように感じる。

統合失調症の症状

①被害妄想  妄想の中では、一番多いものです。具体的な例を挙げると「悪口を言われている」「悪い噂を流されている」「いじわるをされている(あの上司は私を辞めさせようとして、無理に仕事を押しつけてくる)」というようなものです。  それ以外にも、追跡妄想(いつもつけ狙われている)、注察妄想(いつも見られている、監視されている、盗聴されている)、嫉妬妄想、物理的被影響妄想(食べ物に変な薬物を入れられたといった被毒妄想、電波で体を変にさせられた)があります。その背後には、本人の恐れや危惧があると思われます。  被害妄想は、統合失調症の八〇%に見られるとされています。

②誇大妄想  時に被害妄想とは逆の誇大妄想も見られます。具体的には「会社の皆が自分に愛想が良くなった。これは自分が社長になる証拠だ」とか「自分は教授に選ばれることになっている」といった感じです。これと同じ系列には、発明妄想(特定の発明をした)、恋愛妄想(女性に多く、相手〔有名人が多い〕から愛されているに違いないという確信を抱く)があります。  これらは、被害妄想とは逆に、自分の願望や空想が本人を支配してしまったものと言えます。こうした誇大妄想はもちろん実現しませんから、実現しない不満を誰かに邪魔されたせいだとして被害妄想も合併することがあります。

僕もこの被害妄想と誇大妄想に囚われた時期があった。つけられたり、盗聴されたりして監視されている感覚や、自分を中心に世界が回っているというような誇大妄想など。これは実際につけられていたとしてもなんの不利益が生じるのかとか、社会的に重要な人物でもない僕を付け回す理由はなんだ?と考えるようになってからだんだん症状が緩和され、気にならなくなってきた。

幻聴治療の難しさ

幻聴の治療は、結構難しいものです。この事例Kでも自覚したように見えますが、これは治療者との会話の中で出てきたものなので、自分本来の言葉・自覚として定着するにはかなり時間がかかると思われます。困難点を挙げてみると ①この幻聴について考えることができない、あるいは考えることを拒否するといった傾向 ②治療者との話には一応ついてくるが絶対「実際に聞こえる」と言い張る傾向(本人にとって幻聴は現聴) ③幻聴だと認めても、幻聴の内容が自分の考えと認められない傾向 などが根強いと、なかなか治療は進展しません。ある例なぞは、一〇年もかかってようやく幻聴の内容が自分の思っていることだということを認め出したといったことがあります。それと、もっと重くなると幻聴に支配され、幻聴の言うとおりに動いてしまい、主体性が後退している例もあります。こんな時には、まず少しでも主体の動きを開発するような働きかけが必要となってきます。

10年経っても幻聴はなくなっていない僕の事例からすると、幻聴自体を完全に無くすのは困難なのかもしれない。幻聴がうちから聞こえてくるものと認識し、夢やなんかと同じで実生活には影響を及ぼさない取るに足らないことと認識し、幻聴と共存するしかないのかもしれません。

統合失調症と向き合う医師や医療関係者、患者家族など、これから長い戦いになるので統合失調症とはこんな病気ということが書かれたこの書籍は有効だろうと思います。治療の中で、寛解に向かった例やなんかも載っていて、発症してからどのような回復プロセスがあるのかがわかると思います。

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