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細胞が自分を食べるオートファジーの謎とは?

      2018/05/18

私たちの体を構成する細胞の中で、日々、劇的な変化が起きていることが分かった。体の栄養となるタンパク質で言えば、食事でとる3倍の量を毎日、分解しては新しく合成している。この細胞内の主な分解方法が、いま注目のオートファジーである。オートファジーは、細胞内を掃除し、中身を入れ替えるリサイクルの働きをしていたのだ。従来の生命観を大きく変える、オートファジーのホットな話題を提供する。

オートファジーの最も基本的な役割

まず、オートファジーの最も基本的な役割は飢餓に耐えることである。現在のような過食の時代を除けば、飢餓は生物を苦しめてきた主要なストレスである。多少の飢餓でも細胞や体全体が飢え死にしないようにしておく必要がある。先ほど空腹時のタコが自分の足を食べる例を挙げたが、細胞が外部から十分な栄養を取れない時にオートファジーは起こる。やむを得ず自分自身を過剰に分解してそこから栄養素を得ているのである。このようなオートファジーによる自身の過剰分解は飢餓の時だけに起こるわけではなく、発生の過程で細胞内を大規模に入れ替えないといけないような時にも起こる。たとえば、受精卵は着床するまでにその中身を大きく変化させるが、このときもオートファジーが必要である。これは栄養を作り出すという二重の意味で大切であると考えられる。

生命の維持に必要な栄養を飢餓状態であるために防衛的に発動するオートファジー言葉自体は聞いたことがあるが中身は初めて知った。多くの細胞を入れ替えなければならないとき、オートファジーが役立つことも。妊娠中の女性のほとんどが赤ちゃんを育む栄養が足りていないのでサプリメントをとりましょう的なCMが流れているが、必要な栄養素はこのオートファジーでも補えるということだろうか。人間の生命を維持するために欠かせないオートファジー、その世界を覗いていこう。

オートファジーでダイエットは可能?

「オートファジーでダイエットすること(痩せること)はできますか?」という質問をよく受ける。しかし、残念ながら答えは「難しい」ということになろう。太っているというのは通常、脂肪が脂肪細胞に過剰に蓄積していることをいう。脂肪細胞には核より大きな「脂肪滴」という油の固まりが細胞質にあり、脂肪滴が細胞のほとんどの容積を占める状況になっている。そのような巨大な脂肪滴はさすがのオートファジーでも分解するのが難しい。脂肪滴は細胞質に浮いている脂肪分解酵素(リパーゼ)によって直接分解される。つまり、オートファジーをダイエット目的に利用するのは非現実的であろう。しかし、肝細胞などにある比較的小型の脂肪滴はオートファゴソーム内に取り囲まれて分解されることもあるようである。

オートファジーによって余分な脂肪を分解してくれれば、世の中のダイエットに励む人たちに朗報だろうが、そうでもないようだ。やはり、ダイエットに対する最新の知見を情報として得ながらも、適当な食事制限がダイエットの王道となるのだ。それでも細胞が自分を食べるオートファジーはこれからの人間の体の謎の一つとして興味深い対象であることは間違いない。

体重が100kgを超える人なら7〜8ヶ月は全く食べなくても健康を維持できる!?

1日、2日の飢餓であればオートファジーが活性化されて、それに適応しようとするが、さらに続くとどうなるか。普通のヒトでも約2ヶ月は水だけで生きられるらしい。体重が100kgを超えるようなヒトであれば、7〜8ヶ月は全く食べなくても健康を維持できるという報告がある。その間オートファジーがずっと活性化状態にあるとは考えにくい。事実、ヒトでの絶食開始の継時変化をみると、タンパク質は最初の数日間で急速に分解されるが、その後あまり分解されなくなる。タンパク質に関しては代謝をストップさせ、じっと飢餓を凌ぐ体制に入る。この間、脂肪は分解され続け、主なエネルギーの源となる。動物の冬眠も同じような状況になると考えられ、そこではオートファジーを含めたタンパク質の分解はあまり活躍する場面ではないのであろう。絶食がさらに続いて脂肪の蓄えも尽きてしまうと、ふたたびタンパク質が急速に分解され始め、それはまさに死に直結する。つまりオートファジーが重要なのはおそらく最初の数日間であろうと推測される。その時期は、グリコーゲンや脂肪の利用によるエネルギー調整も問題なく行われているので、タンパク質の分解の役割はおそらく単なるエネルギー調達というより、アミノ酸にしかできないこと、すなわち飢餓適応に必要なタンパク質を合成することにあるのであろう。

絶食系ダイエットなんかが紹介されたこともあるが、普通の人でも約2ヶ月は水だけで生きられる!?いくらダイエットしようと意気込んでもそこまでできる人は稀だろう。

オートファジー名前は聞いたことがあっても体の中のどんな作用かまでは知らなかった。人間の体の神秘的な部分が垣間見える書籍。

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