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『生涯未婚時代』結婚をする、しないで人生の価値は変わらない

二〇一五年の総務省統計局『国勢調査報告』によれば、五〇歳の時点での婚姻状況によって示される生涯未婚率は男性二三・四%、女性一四・一%と過去最高の結果となりました。これまでの日本は九割以上の人が結婚をしていて「皆婚社会」といわれてきました。しかし生涯未婚率は一九九〇年以降急激な上昇を示し始め、二〇三〇年には男性の約三割、女性の約二割との予測も。結婚する人生ばかりが幸せではなく、しない人生も同じくらい尊いものだと元気付けられる書籍。

成功した『逃げ恥』

『逃げ恥』とは五〇歳になろうかという未婚女性の人生(=生涯未婚の上昇)と、結婚するかどうかは場合によるので仕事をしながらぼちぼち考えたいという二〇歳代の女性(=非婚就業希望者の増加)の人生からなる、生涯未婚時代をなさに正面から描いた作品といえます。収入や年齢などを基準に結婚を決めるという価値観を批判し、結婚や恋愛は人生を構成する要素として位置付けた上で、色々な幸福があることを高らかに宣言しています。つまり、絶対を前提とせずに悩みながら、その都度考えるという人生観が克明に描かれているのではないでしょうか。本作が大きな共感とともに大ヒットしたのも、時代の状況を鋭く描いた先見性が評価されたもののように感じます。

毎クール始まるドラマは、とりあえず初回は見るのだが、そのあと連続して見るほど面白いものがあまりないように思う。しかし、そんな僕も見ていたぐらいだから、影響力の強さはうかがい知れる『逃げ恥』。そこそこ収入はあるが、女性経験皆無の主人公。決して自分と重なるわけではないが、なぜか共感してしまう。恋愛については高校生ぐらいで経験あり、なし、二極化されると言われており、一部の人間が多くの人と付き合うことで平均を大きく引き上げているように思う。僕も負け組のうちの一人で、高校時代はグループ交際(←古い)から一歩抜きん出ることはなく、大学に入ってやっと趣味を通じて知り合った女性と付き合うことに。その後も他の女性と付き合うものの、結婚には至らず、今があります。

結婚できないのは経済力がないからではなく、景気のせい?

日本における婚姻件数及び婚姻率は戦後から高度経済成長期にかけて上昇し、一九七〇年代にピークを打ってその後減少しています。その理由としてしばしば指摘されるのが年功序列、終身雇用、組合型賃金という日本型雇用の三種の神器が支えた生活の見通しのたてやすさです。年功序列や終身雇用が結婚を後押しするのは、単に生活が安定しているということだけでなく、将来どの程度の給料を得てどのような生活をしているのか予想可能であるという点にあります。長期ローンで家を買い、学資保険や生命保険に入ることができたのも、将来の収入があらかじめわかるという前提があるからです。

僕の場合、わずかばかりの収入で、何か欲しいものがあるとき必ず考えるのが、貯金を切り崩してまで買う価値のあるものかどうかという判断です。結局毎回、先の見通せない身分ゆえ、定期預金や保険を解約することはないのが現状です。病気な上に、対人関係の不信から求人の多いサービス産業に従事することができないので、小遣い稼ぎにブログなどをやっているが、これが非常に効率の悪い収入源で、コンビニバイトのでもやったほうが全然稼げるのが残念なところ。

結婚とコストパフォーマンスを語る独身貴族男子

友人Bさんの話をします。東京で一部上場企業に勤める彼は五〇歳手前で、趣味や語学などに時間を費やす向上心のある男性です。当然、仕事でも高い評価を得ています。交際経験も「人並み」にあることで、結婚しようと思えばいつでも結婚できそうに見えるのですが、本人曰く「結婚しそこなった」そうです。「結婚するとなれば、いろいろ大変じゃないですか」とBさんは言います。大変の中身とは妻子を養う責任や教育費の負担、生活を変えることに対する不安などのようです。Bさんは「結婚はコスパが悪い」とまでは言いませんでしたが、生活に関する諸要素を比較して「結婚するとトータルで損をする」とのストーリーに接した経験は誰にでもあるのではないかと思います。

2006年にフジテレビ系列で放送されたドラマ『結婚できない男』では阿部寛さんが演じる高学歴、高収入、高身長の「三高」を満たすイケメン建築家が「結婚できないのではなく結婚はしない」理由として「妻と子どもと住宅ローンの三大不良債権を負わされる」ことを挙げていた。2016年にTBS系列で放送された『家族ノカタチ』では、香取慎吾さんがロードバイクやスポーツクラブに通うことに熱中して結婚には後ろ向きな男性を演じました。

結婚してしまうと釣った魚に餌をやらないではないが、一緒に出かけたりすることが年々減ってくるカップルも多いだろう。歳を重ねても定期的に夫とデートしたいという女性もいるが、その逆も。価値観が違うと衝突することも日常茶飯事だろう。子供をもうけられるというメリットを抜くとずいぶん窮屈な縛りがいろいろ出てくる結婚。別にしなくてもいいじゃないかという風潮は、未婚でこれからも結婚できそうもない僕には僅かばかりのエールとなる気がする。女性が理想とする結婚と現実との乖離から離婚する人も増えている昨今。親からの孫が欲しいというプレッシャーを除けば、生涯未婚もリスク管理としてありなのではないかとも思う今日この頃です。

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