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『生涯投資家』村上世彰

      2019/02/27

「お金儲けは悪いことですか?」2006年6月、ニッポン放送株をめぐるインサイダー取引を行った容疑で逮捕され、有罪判決を受けた村上ファンドの村上世彰氏。本書は、株の世界に復帰し動向が注目されている村上氏の、最初にして最後の著書で、半生記であり、投資理念の解説書でもある。灘高―東大法―通産省を歩んだエリートがなぜ投資の世界に飛び込み、いったい何を試みたのか。投資哲学、日本企業、日本の経営者たちへの見方とは。

上場のメリットデメリット

株式発行による直接金融で資金を調達する必要のない企業は、上場を廃止して非上場になることを検討すべきだと思う。特に近年流行った「買収防衛策」を導入するような企業は、本当に買収されることを回避したいのであれば、非上場化すべきだ。買収防衛策に限った話ではない。株主に向き合う経営が難しいのなら、経営者が自ら株主になるMBO(マネジメントバイアウト=経営者が中心となって自社株を買うことにより非上場にすること) によって、上場を止めるべきだ。上場とは、端的に言うと「誰が買ってもいい=誰でも株主になれる」状態だ。その状態が経営上望ましくないのなら、上場をやめてプライベートカンパニーになるという選択肢を検討するべきだ。私は自分の投資先に対して、一緒にMBOをして非上場化するという提案を繰り返し行なってきた。私が投資する企業は、現預金をたくさん保有していたり、財務状況も良く、銀行からの借入余力もあって、直接金融で資金を調達する必要のない企業がほとんどなので、上場している意味が見い出せないからだ。さらに、株価が長年低迷しているような会社は、MBOによって株価に一定のプレミアムをつけ、株主に売却の機会を提供することもできる。これは、株主にとっても望ましいことだと考えていた。

広く資金を調達したり上場による知名度のアップを狙うのではない場合はメリットが少ない場合も。特に会社が現預金をたくさん保有していたり、銀行からの借入余力もある場合、敵対的買収のデメリットを考えると上場しないほうが良いのではという会社も多くある。逆にそんな会社を見つけたら投資のチャンスかもしれない。

官僚として見た上場企業の姿

実際にお話をさせていただくと、財務数値についてよくわかっていない経営者が、予想に反して多かった。売上や利益の収支は把握していても、その積み重ねであるバランスシート(貸借対照表) についてはあまり気にしておられず、数字が頭に入っていないのだ。自分の会社の資産の内容、売掛金と買掛金のバランス、有利子負債の額や負債比率、利益剰余金がどのくらいになっているか、といった財務状況を意識していないのは、驚きだった。むしろ私のほうがその会社の財務に詳しい、という場面が多々あった。企業のバランスシートは、その会社の現在までの軌跡と、目指す資本政策を的確に表している。どういうポリシーがあって現金を積み上げているのか、利益剰余金を株主に還元するのか内部留保しているのか、という点など、経営者の考え方がストレートに反映されるべきものである。しかしながら、多くの経営者と話をするうちにわかったことは、特段のポリシーもないまま、過去からの経営方針を「なんとなく」引き継いでいる企業がほとんどだということ。毎年安定配当をするという配当政策もそうだし、借入も「できるだけしないように、と昔から言われてきたから」といった慣習のようなもので、なぜ現在そうしているのかをその時々の経営者が考えて選んでいる施策ではない、ということだ。

経営者が財務状況を把握していないなんていうのは、致命的では無いのかと僕も驚いている。でも実際にはそのような経営者が多いのだという。「なんとなく」過去からの経営方針を引き継いで、現在に至り、いままで景気もそう悪くなかったので存続していた会社もこれからは苦境に立たされることも多くなるだろう。日本の企業ではトップの交代は前社長からバトンを渡す感じで次期社長が指名されることも多いが、世界的に見れば株主が経営者を選ぶものだ。事業計画を株主に説明し、株主はそれを吟味した上で経営者を選ぶのが資本主義の原則だ。

投資家と経営者の分離

投資家と経営者の分離が、株式会社という形で整備されたのが一六〇〇年に設立されたイギリスの東インド会社だ。東インド会社は、航海ごとに第三者である投資家が資金を出資する形をとった。一六〇一年三月の最初の航海には、二百十五人の出資者から六万八千三百七十三ポンドの資金を集めた。この航海は成功し、売上の全てを出資者に返還した。しかし売上すべてを返還していると、航海のたびに出資を募らなくてはいけない。そこで一六五七年から、継続的に事業を営むことを目的とし、売上ではなく利潤のみを株主に分配する方式に改めた。同時に、投資家が経営に参画できるように総会方式を採用し、現在の株式会社の基礎を作った。

日本では投資家が経営に参画できる仕組みなのにも関わらず、株式投資はそういった側面よりもギャンブル的な要素が強いような気がしてならない。一時期デイトレーダーがもてはやされた時期があるが、あれなんかまさにギャンブル。最近だとバイナリーオプションなんかがそれに当たる。SNSでもそういったものへの勧誘が後をたたない。情弱相手のレクチャーで荒稼ぎしている輩も多かったが、最近ではアカウント停止にされたりして少し減ってきたかなという印象。

「村上ファンド」の一連の騒動の裏側や、生涯投資家と語る彼の人生を語る書籍。日本企業のあるべき姿を投資家の側面から見ていく。数々の成功の裏側で彼を襲う悲劇とは?投資の世界のリアルがここにあります。

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