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『侵略者は誰か? 外来種・国境・排外主義』

      2019/01/23

なぜ外来種を駆除しなければならないのか? 移民・外国人を排除・嫌悪するのはなぜか?脅威は「外」から来ると考えるのはどうしてか?外来種を侵略者と読み替える「国境」の論理――それが生み出す、人間と人外の動物への「排外主義」とは何か。 「人新世」や「多元的存在論」など、人間と自然の関係を再検討する諸概念・研究を手がかりに、既存の外来種論の見直しを図る人文社会科学からの応答である。

種が侵略者となるとき

人間は自分たちのことを脇へ置くのが普通であるが、この星に私たちがもたらした荒廃をめぐっては、議論が増えつつある。人新世(Anyhropocene)とは、人間活動が初めて生態系に傷跡を残した頃から続く時代を指す。人新世が進むにつれ、傷跡は指数級数的に規模を広げ、地球には消し去ることのできない損傷が加えられた。仮に、人々が分かっているとしよう。集団、衆人、または個人として、意識的に、あるいは、もしかすると無意識的に、人間が自分たちのもたらしてきた過去と現在の損害を認知しているとする。となれば、自分たちの最悪の習性で私たちが救い主の役柄を演じられるのであればなおさらである。

非在来種に対する管理的戦略が移民その他の人々に対する警備戦略に重なるものだとするとどうなってしまうだろう。多様性が叫ばれるようになって久しいが、移民をルールなしに受け入れることによる在来種(自国民)の損失を考えるべきかが問われる。同じ人間なんで仲良くできないのかと常々思っているが、言葉や文化が違うのだから仕方ないのかもしれない。移民は自国の文化や言語を習得し一定レベルの国民性を身につけたものとすれば、受け入れる側としても受け入れやすいのではなかろうか。ろくに日本語を勉強しようともせず、自分たちの母国出身者で固まってコミュニティーを作るのでは、こちらとしても受け入れ難くなってしまうのではとも思ったりもする。社会に溶け込めてない僕が言うのも変な話だが、受け入れられる努力も必要なのだと思う。

一元論と管理主義

生物学者のダニエル・シンバーロフは、侵略種をめぐる現在の議論の意見の一致に至らない大きな原因は、当の議論で擁護される様々な立場が、次元の異なる世界観にもとづくことにあると指摘する。シンバーロフは侵略種の扱いをめぐる四つの立場を区別する。第一は、従来の侵略生物学と関係し、シンバーロフ自身も擁護する立場で、大量の侵略種は有害となりうるため、厳重な予防的根絶対策を断固推し進める必要がある、との考えに立つ。第二の立場も生物学者と関わるが、侵略種については第一の立場と対照をなし、大半の侵略種は害をなさず、最小限の介入や管理しか要さないと唱える。第三はシンバーロフが人文・社会科学者と関連づける見方で、侵略生物学は社会的に構築された土着主義に由来すると考えるが、この立場は侵略種の悪影響を過小評価する傾向にあり、そうした生物に対しては基本的に不干渉でいる態度を支持する。第四は侵略生物学に反対する人びとの立場で、撲滅対象とされる動植物が危害と殺害を免れる権利を有すると訴える。

僕も大量の侵略種は有害となるという立場とっている。増えすぎて街に森の生物が出没するようになったら駆除しなくてはならないし、害獣は保護してもデメリットしかない。最近では狩猟免許を持った人が高齢化して来ていて、だんだん猟友会のメンバーが減って来ていることが問題となっている。人間のテリトリーは保持しなくてはと思う。動物管理の問題は色々な意見を持った人がいて、駆除となると反対する人が出てくる。生態系維持のためには駆除もやむなしという場合は仕方ないのではとも思ったりするが皆さんはどうだろうか?

「自然」は人間による介入なしには自己管理ができないという考え方もある。野生化動物の駆除や人道的食肉生産を求める声は「自然」への絶えざる関与を要請しつつ否認することとなってしまう。

環境保護運動の四つの目標

問題への注意喚起ーーこの目標に向けては、左翼のキャンペーンも右翼のそれも、性差別的・人種差別的・植民地主義的な枠組みの古い常套表現をふんだんに用いて、昔ながらの恐怖に訴え、問題に注意を惹きつける。

啓蒙運動ーー問題に目を向けさせるのに加え、人びとにはなぜそれが重要なのか、なぜ危惧すべきなのかを教える必要がある。大抵の場合は「純なる自然」が援用され、中でも、理想化された「在来の自然」という土着主義的な概念に働きかける手法がよく使われる。それが外来種に破壊されるのは、俗に言うこの世の終わりとなる。

生物学教育ーー人びとには基本的な生物学を教える必要もある。侵略種はおのずとよそ者や悪玉に見えるわけではないので、人びとには「悪玉」を見分けるすべがない。そこで運動はーー大抵は地域規模でーー注意すべき地元の侵略種について人びとに啓蒙する。

市民の鼓舞・勧誘・動員ーー最後に、運動は人びとを動員すべく様々な手法を使う。外来種駆除の週末旅行、在来種の植物を育てる団体の結成、メディアでの周知キャンペーンなどである。中には環境活動家が庭に植えてよい植物を指定することに成功した街もある。

様々な環境活動があるが害獣はやはり駆除せねばならない。カラスやゴキブリなど忌み嫌われる生物も対象だ。世の中に一匹もいなくなってほしい動植物も中にはいるが希少動物のように保護が必要な動物は増え続ける侵略者から守れねばならない。この地球における人間が侵略者とならないために。

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