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ベーシックインカムへの道。正義・自由・安全の社会インフラ

      2018/04/08

この本は、ベーシックインカム(BI)への賛成論と反対論を一とおり読者に紹介することを目的としている。BIとは、年齢や性別、婚姻状態、就労状況、就労歴に関係なくすべての個人に、権利として現金(もしくはそれと同等のもの)を給付する制度のことだ。本書ではBIとはどういうものか、この制度が必要とされる根拠であるところの三つの側面、すなわち正義、自由、安全について論じ、経済面での意義にも触れる。また、BIに対して唱えられてきた反対論、とくに財源面での実現可能性と労働力供給への影響についても検討する。さらに、制度の導入を目指すうえでの実務的・政治的な課題も見ていく。

支持者が増えつつあるベーシックインカム

最近は、シリコンバレーのリーダーたちやベンチャーキャピタリストたちもベーシックインカムを支持しはじめている。このアイデアを実行に移すために、資金を拠出する人たちもあらわれた(詳しくは別の章で論じる)。ジップカー(カーシェアリング・サービス)の共同創業者であるロビン・チェイス、Yコンビネーター(シリコンバレーのスタートアップ・インキュベーター)を率いるサム・アルトマン、ベンチャーキャピタリストのアルバート・ウェンガー、フェイスブックの共同創業者であるクリス・ヒューズ、起業家・投資家のイーロン・マスク(ソーラーシティ、テスラ・モーターズ、スペースXの創業者)、セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフCEO、イーベイの創業者であるピエール・オミダイア、アルファベット(グーグルを傘下に収める会社)のエリック・シュミット会長などがベーシックインカムを支持している。

AIに仕事が奪われるといった未来を予測してか、シリコンバレーでは特に他の企業と比べても、ベーシックインカム支持者が多くいるような感じもする。皆に均等にお金を配ると、ギャンブルやなんかで浪費するのではないかという懸念も指摘されている。しかし、様々な実験や調査で、本当に必要な教育やなんかにしっかり使うことがわかってきているのでその心配はないだろう。

インドの試験プロジェクトでは、ベーシックインカムを受給した人たちは、そうでない人たちより債務を減らすケースが多くあった。まだ債務が残っている場合でも貯蓄に回す人が多かった。現金を手にした人はより戦略的な意思決定をすることがわかる好例だ。フードスタンプなど用途が限られたものの受給よりより細かなニーズを拾い上げることができる現金受給はメリットも多いのだ。

賃金労働以外の様々な活動へ

ベーシックインカムは、賃金労働から、それ以外のさまざまな活動への移行も後押しできる。具体的には、子どもやお年寄りの世話をしたり、ボランティア活動や地域コミュニティの活動に参加したり、自己啓発のために時間を割いたりしやすくなる。また、雇用拡大のためだけに新規雇用を創出する必要も減る。雇用対策のために、資源を枯渇させたり、地球環境を汚したりする業種の仕事をつくらなくてすむのだ。この二つの点において、ベーシックインカムは、環境面と社会面でより持続可能性の高い経済成長を促すと言える。

ブログの執筆活動も分けていうならボランティアに等しい。アフィリエイトのような雀の涙ほどの収入で毎日記事を書き続けるのは、読んでくれている人の承認以外にモチベーションの拠り所はない。おかげさまで2年続けているが収入は月5000円あれば良い方。お小遣いというにもちょっと低すぎる金額だ。ベーシックインカムがあればこうした世の中の役に立っているんだかなんだかわからないような活動をする人が増えて、より多様な生き方をみんなに選択させることができるのでぜひ実現してほしい。ベーシックインカム導入で世の中がもっと楽しくなるのではないかと思う。

明日にも起こるまもしれないテクノロジー失業

エコノミスト誌によれば、大規模なテクノロジー失業が起きればベーシックインカムが必要になるかもしれないが、まだそのような段階は訪れていないという。「ベーシックインカムが必要とされるような問題は、まだ現実化していない」というのだ。これはベーシックインカムの最大の意義をテクノロジー失業対策とみなす主張だが、すでに述べたように、推進派のほとんどは別の理由でこの制度の導入を求めている。経済的な安全や社会正義や自由が欠如している状況を(完全にとは言わないまでも)是正する役割を期待しているのだ。

銀行やコンビニから人間がいなくなり、機械化に近づいている現状を見れば、テクノロジー失業がもうそこまで来ていると言っても良いと思う。店舗における経費の大半は人件費なのだから機械化はなるべくしてなった仕方のない合理化。ベーシックインカムは、職業選択の際、斜陽産業から成長産業への人員移動といった観点からもメリットは大きい。

ベーシックインカム導入に関する様々な実験や調査の内容を通じて実現可能なプランを数多く提示。これを読めばベーシックインカムのこれまでの議論や、導入に向けての問題点などが総合的にわかります。

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