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『かくて行動経済学は生まれり』人間の直感は間違うもの!

マイケル・ルイスの最新刊というと「待ってました!」と身を乗り出すファンも多いだろう。今回の主役は二人のイスラエル人心理学者。金融市場を舞台にしたノンフィクションやIT業界を舞台にしたもの、メジャーリーグの弱小チームがデータを元に強いチームとなるもの、サブプライムモーゲージ債市場を描いたもの、と多彩だが、「心理学者!?」と意外に思う人も多いだろうが、そうした先入観なしに読み進めていこう。

直感を排除するとよりよい判断ができる

のちに大学教授になってから、ダニエルは学生にこう言うようになった。「誰かが何かを言ったとき、それが本当かどうかと言う疑問を持つな。それがどんなところに当てはまるかを考えなさい。」これは彼の知的直観であり、精神的ゴールへの第一歩だった。誰かが何かを言っても、すぐさまけなすのではなく、その意味を理解しようとする。イスラエル軍が彼に求めたこと、すなわちどんな性格がどんな軍務にいちばん適しているかという研究は、意味がないとわかった。そこでダニエルは別の、もっと実りの多い問題に答えようとした。それは、新兵の評価を面接担当者の直感で台無しにするのを防げるか、という問題だった。ダニエルは国の若者の性格を推測するよう求められていた。ところが彼は、他人の性格を推測しようとする人々についてあることを発見した。直感を排除するとよりよい判断ができるということだ。

企業の採用担当者も有能な人材を自社に迎え入れるべく、採用には様々な基準が設けられていて面接などで紋切り型の質問が飛び交うのが一般的だ。中小企業などでは、人事の他に管理職の人間が面接官として同席し、鶴の一声で、採用が決まることも。僕もアルバイトも面接で2人の学生とフリーターの面接を行なったことがあるが、1人は失敗だった。仕事中に携帯(その頃はスマホはなかった)ばかりいじっていて最低限のことはこなすが、サボりがち。いくら注意してもやめないので、契約期間満了とともに辞めてもらった。直感で選ぶとこういうことになる。そして指導がうまくできなかった人間として僕の評価も下がることに。

大事な時間を何に費やすか?

エイモスには見事なまでのわかりやすさがあった。彼の好みは、いつもその行動から直接、そして正確に指摘できた。エイモスの三人の子どもたちは、母親が選んだ映画を観に両親が車で出かけたものの、二十分後に親父だけ戻ってきた時のことをよく覚えている。エイモスは最初の五分で、その映画は見る価値があるか判断していた。そしてもし価値がないと思えば、家に帰って『ヒルストリート・ブルース』(彼のお気に入りのテレビドラマ)か『サタデーナイト・ライブ』(見逃したことはない)、あるいはNBAのゲーム(彼はバスケットボール・マニアだった)を観た。そして映画が終わる頃、妻を迎えに行く。「すでに金は失っている。さらに時間まで失えというのか?」というのが彼の説明だった。

僕は貧乏性なのでお金を払った映画や書籍は最後まで観たり読んだりしないと気が済まない。映画なら後半にかけて面白い展開があるかもしれないし、書籍なら後半に心に響く金言が書かれているかもしれないと勝手に思い込んで、結局最後まで付き合わされる。限られた時間を何に使うか。僕はエイモスのように「すでに金は失っている。さらに時間まで失えというのか?」という物言いに基本的には賛成だが、ちょっと違う、世の中には無料のものが溢れているのでそうしたものに時間を奪われないよう、注意をしている。現代は、金は失わなくとも時間を貪り食うようなサービス(SNSが最たるもの)が跋扈している。適度に距離を置くのが賢い使い方かもしれません。

保険に入り、宝くじを買うのは「合理的」か?

決断の理論は十八世紀初頭に、サイコロ賭博をしていたフランス貴族が、どう賭ければいいか宮廷数学者に助けを求めたことから始まったーーと教科書にはあった。ギャンブルの期待値は、個々の結果の価値を確率で評価して、それを合計したものだ、もしコイン投げで、表が出たら百ドルを手に入れ、裏が出たら五十ドル失うという賭けがあったあら、期待値は「$100×0.5+(-$50)×0.5」、つまり二十五ドルだ。このルールに従うなら、期待値がプラスであれば、人はそのかけを受けると考えられる。しかしかけにおいて、人は必ずしも最大の期待値を求めているような行動をしないことはご存知の通りだ。

ギャンブラーは期待値がマイナスでもその賭けを受ける。そうでなけれなラスベガスやマカオでカジノがあんなに儲かるはずがない。豪華なホテルやカジノの施設があれだけ多くあるのは胴元が期待値マイナスな賭けで儲けているからだ。僕は母方、父方の祖母が二人とも保険の外交員だったこともあり、生命保険などに加入しているが、死んでなんぼのものは、未婚の僕にはあまり意味がないかなと思いつつも、病気のせいで、これから生命保険に加入するのが難しい(最近では持病があっても入れるものもあるが)のでそのまま解約せずにとってある。宝くじは買わないが、Bigは定期的に自動購入するようにしていて、期待値がマイナスなので少額だけ買って夢を見ている。合理的とは言い難いが、買わなきゃ当たらないし、病気になった時医療費を賄うための貯蓄をするのも面倒なので保険は必要だと思う。

行動経済学の生い立ちと二人の心理学者の物語はボリュームもあり読み甲斐があった。人間の直感は間違う。そのことを発見し、あらゆる学問に革命をもたらした二人の天才が僕らを行動経済学に誘う。

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