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『「社会を変えよう」といわれたら』木下 ちがや

      2019/04/19

冷戦後の世界秩序の変化に対応できなかった矛盾が噴出する3・11後の日本社会。この間デモや社会運動、政治に様々に参与してきた私たちの経験を戦後史のなかで叙述し、社会を変える力と協働の足場を解明。「この政権はなんで倒れないの?」「日本に民主主義は根づかないの?」「平和憲法は時代遅れなの?」そんな疑問に憑りつかれたら一読を。あー、そうだったのかと気づくことがいろいろ。ちょっと前向きになれるはず。

「非常識」な支配

このように安倍政権は、与党を厳格に従属させ、異端者を徹底的に監視・排除し、「代わりがいない」あるいは「変わらない」姿をみせつけることで安定的な支配を確立するという、戦後政治の「常識」から外れた統治手法を編み出したのです。どんな酷い大臣のスキャンダルがでても一切辞任させない。麻生、菅、二階といったコアな幹部の人事は一切動かさない。どんなに批判がある法案の審議でも会期延長は一切許さない。そして安倍総理の後継者は育てない。

つい最近も桜田オリンピック担当大臣の辞任があったが、世論がというより野党の厳しい追及に耐えるだけの能力がなかったからだと思う。一度失言で印象を悪くしたのなら、細心の注意を払って喋るべき。度重なる失言で辞任に追い込まれたわけだが、最後まで辞任を引き延ばした感はある。党内に安倍総理に変わる実力者が育っていないのもまた事実。国民の人気だけなら小泉進次郎が圧倒的支持を集めているが、党内ではまだそこまで影響力を持っていない。若い世代に頑張ってもらいたいが、安倍総理の4選はないとのことなので、これからどういった候補が上がってくるのか興味がある。

「政治改革」がもたらした支配の条件

一九九〇年代初頭から日本では繰り返し「政治改革」が叫ばれてきました。「政権交代可能な二大政党制の確立による民主主義の活性化」がその柱でした。しかし今わたしたちが目の当たりにしているのは、その二大政党制の一角を担うはずであった民主党の消滅と、安倍政権に圧殺される自民党という民主主義の瓦解状態です。そして「醜いから倒れない」安倍政権の登場は、たんなる偶然ではなく、四半世紀にわたる政治改革の失敗がもたらした帰結にほかなりません。

森内閣以降の自民党出身の総理大臣候補と呼ばれる人物は全て、政治家二世あるいは三世で、中央集権的な血統支配の政党に変質してしまっている。二世議員が悪いとはいわない。むしろ親が政治家としてキャリアを積む姿を見て育った人間なので、政治に対する姿勢や振る舞いも勉強してきていて望ましいのではとさえ思う。

アベノミクスの問題点

「アベノミクス」とはいまの経済構造がもたらす危機を、金融緩和と財政出動により当座回避するというものにほかなりません。そして「雇用が安定し、生活が向上している」かのような「みせかけ」を演出していきます。安倍総理は失業率の低さと、有効求人倍率の高さを誇っていますが、その内実は民間サービス部門における非正規雇用を増大したにすぎません。

僕が転職活動をしていた際にも、正社員の募集をかけていたにも関わらず、面接後、契約社員にならないかと打診してきた会社がある。おいおい僕は正社員だから応募したのであって、契約社員ならこっちからお断りだと言わんばかりにその話は断った。非正規雇用は正社員と比べても圧倒的に待遇が悪い。生涯非正規だったなら、どのくらい差がつくのかなんてことは考えたくもないだろう。それで非正規雇用も含めて、失業率が低いといっても納得いかない。それならもっと自由な働き方をと思っていしまいます。

社会運動に参加する動機

3・11から八年あまりの月日がすぎました。この間、これまでの日本社会にはなかったさまざまな新しいタイプの社会運動が台頭しました。大規模なデモや集会を実現した反原発運動や安保法案に反対する運動、また反レイシズムの街頭行動、沖縄の基地に反対する運動、そして#MeToo運動に代表される女性の運動、LGBTの権利をめぐる運動などがあげられるでしょうか。しかしながら、こうした運動が掲げた課題は、ひとつも達成されていません。原発はいまだに稼働し、安保法制は制定され、政府は辺野古への基地移転をいまだ推進しようとしています。そしてさまざまな差別は、今も日本社会を蝕んだままです。「だから結局何も変わらなかったじゃないか」「社会運動などやっても無駄だ」「成果をあげないと意味がない」という冷笑的なささやきが聞こえてきます。

社会運動で何も変わらなかったじゃないかという人がいるが、大きく変わってきたことがある。それは国民の意識だ。今まで気にも留めなかったことを考え直すきっかけとなったことは間違いない。

「社会を変えよう」と言われたら、あなたはどのような行動をとりますか?さまざまな疑問を投げかけてくれる社会運動。参加しないまでも、考えるきっかけにさえなれば、世の中は少しずつ良くなっていくのではないだろうか。

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