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AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働

最大の問題は、人間がAIとロボットとの競争に負けつつあること。その結果「中流」は崩壊し、貧富の差は有史上、もっとも広がる。それに対する処方箋は、人々にただでお金を配ること、週の労働時間を15時間にすること、そして国境線を開放することである。それこそが、機械への『隷属なき道』となる。

自分は特別な人間

一九五〇年代には「自分は特別な人間」だと考えている若者は、一二パーセントしかいなかったが、今日では八〇パーセントもいる。だが実情は、特別どころか、私たちはますます似たり寄ったりになっている。皆が同じベストセラーを読み、大ヒットした同じ映画を観て、同じスニーカーを履いている。

自分は特別だという割には、同調圧力が強い世の中では、皆と同じ行動になりがち。同じグループを形成する仲間たちの間でのマストバイや同じコト消費が僕たちを縛り付けテンプレート化した個性のかけらもない人間が出来上がる。それを不満に思うことは必然だろう。

優秀な人間が銀行家でなく研究者を選べば

経済的な面を見てみると、生産的活動とは言い難いトレーダーや銀行員、不動産所有者などによる資産の移動によって得られる高額な報酬へNo!を突きつけるべきだろう。優秀な人間が銀行やなんかの高収入な職種に流れることで僕たちは皆貧しくなってしまった。銀行が1ドル儲けるたびに60セントが失われる計算だ。もし、株式や不動産の売買に高額な税金をかけたなら、高速売買で利益を追求するトレーダーは多くの税金を払うことになり報酬も少なくなる。不動産売買についても同じ。そうすると優秀な人材がより生産的な職種につくようになり(例えば研究開発者とか)冷蔵庫やテレビを開発した時のようなブレイクスルーが今後も起きうる。研究者が1ドル儲けると5ドル以上の額が経済に還元されるといった試算もある。高額所得者に高い税金を課せば、才能ある個人をより良い外部性を持つ職業に再分配でき、有益な仕事をする人が増えることになるだろう。

生活に根ざした職業は厚遇であるべき

1968年、ニューヨークで7000人ものゴミ収集作業員が集まりストを決行した。ゴミ収集が行われないことで、ゴミは毎日1万トンずつ増え、悪臭が街を覆った。高級住宅街も例外ではなく、ネズミが出没するように。わずか2〜3日でゴミは溢れスラムのような状態に。こうした経緯もあり今では、ゴミ収集作業員はニューヨークのヒーローで人も羨む報酬を得ている。これと同じことが日本でも起こるべき。例えば保育園の保育士がストを起こしたらどうなるだろう、預けられなかった子供は家に置いて一人ぼっちで留守番させるか?小学生ぐらいならそれも可能かもしれないが未就学の保育園児ではちょっと無理だろう。仕方なく会社を休んで育児に時間を割くか検索してヒットした自宅近くのベビーシッターに高額な利用料を払い仕事に戻るかしなければならない。育児ができない環境下でも子供が欲しいというのだから、預かってもらうのにもっと応能負担を求めてもいいと思う。今や子供がいるというのは贅沢なことなのだ。

ホームレスに3000ポンドを給付する実験

二〇〇九年五月、ロンドンで一つの実験が行われた。被験者は一三人のホームレス男性で、彼らは路上生活のベテランだ。何人かは四〇年近くにわたって、ヨーロッパの金融の中心であるロンドンの「シティ」の冷たい舗道の上で眠る生活をしてきた。警備費、訴訟費用、社会福祉費等々、これら一三人のトラブルメーカーのために、四〇万ポンド[当時1ポンドは約一五〇円]以上の公金が使われていた。それも毎年、である。(中略)これらの路上生活者は、フリーマネー(自由に使えるお金)を給付されることになったのだ。正確に言えば、彼らは小遣いとして三〇〇〇ポンドを与えられるが、その見返りに何かをする必要はない。使い道は各自の判断に任せる。アドバイザーに相談したければ、そうしていいがそれも自由だ。

結果どうなったかというと彼らは意外にも散財せず、一年経った時点で、まだ3000ポンドのうち、平均で800ポンドしか使っていなかった。意外と倹約家だったのだ。その金で身綺麗にしガーデニング教室に通いだすもの、身なりに気を配り、髭を剃り、今では離れていた子供のもとに帰ろうと考えるものも現れた。以外にもフリーマネーは人を怠惰にすることはなかったのだ。

ベーシックインカムについて考えてみると、アメリカの例だが、貧困撲滅にかかる費用はわずか1750億ドルでGDPの1%以下だという。貧困との戦いはアフガニスタン紛争やイラク戦争よりはるかに安く済む。アメリカの軍事費の4分の1で済むのだから。日本でもアメリカから兵器を買うことに国費を費やさずベーシックインカムに当てることだって可能。AIに仕事を奪われると言われて久しい現在、仕事を代替され奪われたなら、ベーシックインカムが効力を持つだろう。現在のような生活保護制度とは違いみんなに配られるのだから面倒な手続きに区役所職員を動員する必要もなくなる。福祉がいらなくなるのだ。

過去に何度も導入が検討されたり小規模ながらも実証実験がなされてきたベーシックインカム。これからの福祉のあり方の一つとして再び検討してみる価値はありそうだ。

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