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青春支援企業 ドリームインキュベータは挑戦する|山田 清機|ちょっと特殊なベンチャー支援のプロ集団、その活動を追う

ドリームインキュベータ、ベンチャーキャピタルより挑戦的でコンサルティングファームより熱い、そんなちょっと特殊なベンチャー支援のプロ集団。その活動を追ったライブ・ドキュメント。

青春支援企業

椿の解説によると、DIの収益の柱はふたつ。第一は、ベンチャー企業(正確には経営者)から株式の譲渡を受け、そのベンチャー企業がIPOしたときに、その株式の一部(もしくは全部)を売却してキャピタルゲインを得ること。もうひとつは、大企業に対するコンサルティングによる収益だ。つまり、先ほどのグラフでいえば、ベンチャーフェーズ~IPOと大企業フェーズで商売をしているのであり(ポストIPOについては後述する)、それぞれにおける商売の仕方はまったく異なっている。ベンチャーフェーズでは株式を対価とするインキュベーション、大企業フェーズではキャッシュコンサルティング(コンサルティングの対価を現金でもらうこと)だ。なぜ、ベンチャーフェーズではキャッシュコンサルをやらずに、対価を株式でもらうのだろうか。椿は苦笑いをする。「ベンチャー企業ってお金がないんですよ。たとえば、われわれが行っている大企業向けのコンサルティングフィーは一件あたり数千万円から、大きいプロジェクトになると数億円にもなります。大企業ならばそれだけのフィーをキャッシュで支払うことができるでしょうが、ベンチャー企業にはまったく無理です。そこでわれわれは、インキュベーションの対価として株式の譲渡を受けるわけです」つまり、ベンチャー企業の多くはキャッシュを持っていないから、いくらDIの支援を受けてもお金が払えない。そこでキャッシュの代わりにDIに株を渡す。そのベンチャー企業がマザーズやヘラクレスといった新興株式市場でIPOすれば、その時点で株価は跳ね上がる。そこでDIは、譲渡を受けた株の一部を売却して現金化し、それを収益にしているというわけだ。つまりDIは、インキュベーションの対価をIPOの後に初めて受け取ることになる。逆に言えば、インキュベーションしたベンチャー企業がIPOできなければ、DIが譲り受けた株券は紙屑になってしまう。これは、あまりにもリスキーなビジネスではないだろうか。椿は言う。

起業して間もないベンチャーだと資金繰りに困って撤退を余儀なくされるケースが散見する。そこでキャッシュコンサルをやらずに対価を株式でもらうわけだが、これは需要があるいいところに目をつけた戦略。ベンチャー企業支援を一貫して行うDI(ドリームインキュベータ)の真骨頂。

ベンチャー企業の継続成長を担う

「つまり、ベンチャー企業が継続成長を目指し続けることが新興市場の健全化につながる……というよりも、継続成長を目指す企業の株がまっとうに評価される市場こそ、健全な市場なのです。ですから、『ベンチャー企業は上場前から東証一部上場を目指そう』というスローガンは、あくまでも継続成長を象徴的に表現している言葉であって、継続成長をしているのであればジャスダックにとどまっていたっていっこうに構わない。決して、東証一部がゴールだと言っているわけではないんです。資本市場、資本主義というのは、東証一部に行こうが、時価総額が一兆円を超えようが永遠に成長を求めるある種の欠陥システムなのですが、少なくとも新興企業にとって継続成長は資本市場を歪めないためにも必要であり、継続成長さえしていれば、経営者も社員もパートナー企業も、みなハッピーになれる。そして僕らは、そういう『志』を持った経営者とつき合っていきたいと、こういうことなんです」山内の言うことはわかる。しかし一方で、起業家が一攫千金を狙うのもまた、自然なことではないだろうか。起業家は普通に会社勤めをしていたのでは手に入らない金や名声を手に入れたいと熱望するからこそ、リスクを犯してまで起業するのではないか。もしも彼らにそうした野心がなければ、そもそも起業などしないだろう。それを「志」という方向へ引っ張っていこうとするのは、いささか無理がある。もっと言ってしまえば、日本のベンチャー企業の経営者は、必ずしもエリートとは呼べない属性の人たちが多数を占めている。エリートではない人間が、起業によって人生の一発逆転を狙う。日本のベンチャー企業には、どこかそんな匂いがある。そうした起業家たちに向かって、山内のような超エリートが「志」を押しつけることには、どことなく違和感を感じてしまうのだ。山内は言う。「実は、僕の実家は大阪で中小企業をやってまして、親父は大学も出ていないし、あまり金もないというか、どちらかというと悲惨な生活でした。でも、中小企業とベンチャー企業は違うんです。中小企業は成長しなくてもいいけれど、ベンチャー企業はあくまでもベンチュラス(冒険的)なことをやる会社なわけです。そういう会社を輩出して経済を活性化するために、マザーズのような新興市場をつくり、わざわざ上場の敷居を低くしているわけです。そういう趣旨でつくられた制度を、起業家のエゴのために悪用してはいけないんです。

起業家の中には新興市場である程度成功したら売り抜けるなんて人が一定数いる。市場の健全化という観点から言えば、継続成長を促すのがサポートする側の使命だろう。そこまで情熱が持てないなら鼻から挑戦すべきでないとすら思う。

ベンチャー企業支援の新しい形として異色の業務形態を取るDI(ドリームインキュベータ)の企業理念がわかる書籍。忘れたしまいがちな資本主義の理論に則った継続成長を促す青春支援企業。

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