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羽生善治 × 川上量生 「羽生さんはコンピュータに勝てますか?」

チェスや囲碁、将棋などでAIが人間を上回る知能を持ち始めたが、今のところルールを教えないとその膨大なデータをうまく生かせない。徐々にそれさえも理解しだすAIもできてきているがどこまでAIは人間に肉薄できるか。とりあえず人間と同じ体を持たない限りはしばらく安泰なのではと思うのは楽天的だろうか。

電王戦

じつをいうと、「電王戦」をはじめる以前は、人工知能を少しあなどっていました。僕はコンピュータ業界に長くいるので、人工知能の実用性をある程度は理解していたつもりだった。杓子定規なもので、ルールから少しでも外れると使えないものだと思っていたのです。ところが電王戦では、過去の棋譜データを大量に分析して学習する「ボナンザ・メソッド」によって、コンピュータが何勝も挙げました。このメソッドは、のちほどお話しする「ディープ・ラーニング」のような人工知能の最先端技術を使っているわけではありません。それでもプロ棋士に勝っている。では、最先端の世界では何が起きているのか。ちょっと調べたところ、脳科学の成果が人工知能に導入されるようになって、ブレイクスルーが起きようとしていることがわかりました。それで、「やばい。最先端の研究者にドワンゴへ来てもらおう」と思って、研究者を招聘したところ、「行ってもいいけど、そのかわり研究所を作ってくれ」と言われたのです。

AIの研究には急激な進歩によって人材が足りない。研究者の争奪戦が繰り広げられているようだ。AI関連の知識を持つ人は今や引く手あまた。良い条件でないと招聘も叶わないといったところか。

AIの方が人間より圧倒的に事故が少ない

羽生  グーグルがアメリカの公道で自動運転車の試験を続けているとか。100万キロ以上走っても、 10 件程度しか事故が起きなかったそうですね。しかも、起きた事故は、自動運転車に過失があったのではなく、その周囲を走っていた人間の運転する車が原因だった。

川上  そう。運転は機械のほうがうまい。じつは、ほとんどの人間は難しい行動はしていないのですよ。運転にしても、映画に出てくるカーチェイスのような高度で複雑な操作ができるドライバーは、ほとんどいないと思う(笑)。人間の行動の大半は単純なものなのです。で、単純であれば、やはり機械のほうがうまい。ミスがないから。

シュミレーターなんかで運転してみると人間の運転がいかにいい加減かがわかる。機械ならばグリップして曲げれる限界まで車体をコントロールして運転することも可能。しかし、人間だとスリップや無駄なドリフトなどになって直進する力をうまく路面に伝えられないなんてことも。

2018年、コンピュータに追い抜かれる?

川上 グ ーグルの共同創業者ラリ ー ・ペイジは 、 「これ以上 、人工知能が進歩すると 、人間の時代は終わってしまうのではないか 」というような質問に対して 、 「そうなるかもしれないけど 、それは時代の流れだから仕方がない 」という趣旨の発言をしています 。これは確信犯ですよ 。 「どうせ人間は人工知能に負けるよ 」という意識で 、グ ーグルは人工知能に取り組んでいるのですね 。

羽生 人間が人工知能になっていくことが進歩だ 、という捉え方なのでしょうかね 。

川上 人間のやることが無くなっていく 。

羽生 無くなるというか 、たとえば人間に人工知能のチップを埋め込むようになって、そのときに「これは人間といえるのか、それとも人工知能なのか」という議論がおきる。そんな状況はありえるのでしょうか。人間が、人体の機能をサポートする道具を使う、というケースは今でもありますよね。たとえばメガネだってそうです。これで視力の低下を補っている。もっとも、これは体の外側に装着していますから議論にはなりませんけど。スマホはどうでしょうか。常に持ち歩いている人は少なくない。となると、「それなら体内に埋め込んだほうが便利じゃないか」という話が出てくるのかもしれませんよ。もっとも、倫理的な問題も生じるでしょうから、一気にそんな動きになるとは思いませんが。

川上  人間の体内にチップを埋め込む段階までは、あまり抵抗なく進んでいくかもしれませんね。では、その後どういった議論になっていくのか。たとえば、人間の自我をつかさどる前頭葉を、「この機能を有機物である脳で実行することの意味はないのではないか。全部、チップでできるし」という話にいずれなると思うのですよね。すると、体内にチップを埋め込む時代は長くは続かないでしょう。脳が有機的な実体を持たなくなる時代になり、人間の意識はチップなんかにコピーされるようになるかもしれません。

人体にチップを埋め込むという試みはすでにキャッシュレス決済などの分野ではその試みが行われている。埋め込まれたチップで支払いを終わらせるほか様々なデータにアクセスできる。

人間の仕事が奪われるというネガティブな印象ばかり取り上げられるけど、面倒な作業をAIが代替してくれるので快適な暮らしが待っていると楽観した方が良いのではと思ってしまう。結局は人間が作り出したものなので。

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