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東大教授が考えるあたらしい教養|藤垣裕子 , 柳川範之|「教養=知識量」という考え方はもう通用しない

インターネットで検索すればどんな情報も引き出せる時代。知識量=教養という考え方は通用しなくなってきている。東大教授の著者が提唱する教養とは「正解のない問いに対し、意見の異なる他者との議論を通して思考を柔軟にし、〈自分がよりよいと考える答え〉にたどり着くこと」その意味とは?どうすればこの思考習慣が身につくのかを指南。

間違いだらけの日本の教養観

なぜ「教養=知識量」という誤解が生まれたのか

教養という言葉の意味を知るべく歴史に目を向けると、古代ギリシアを源流とするラテン語の「アルテス・リベラレス(リベラルアーツ)」、ドイツ語の「ビルドゥング」、そして戦後アメリカの「ジェネラル・エデュケーション」という3つの言葉にたどり着きます。

これらの概念については次章で詳しく解説しますが、どの言葉からも「教養=知識量」という単純な説明はできません。

では、多くの日本人が持つ「いろいろな知識を身につけることが教養であり、知識が多い人こそ教養人である」というイメージはどこから生まれたのでしょうか?

これはおそらく、昔の日本において、知識の輸入に高い価値があったことが理由の一つではないかと思います。

たとえば戦前は、ドイツに渡って現地の書籍やドイツで行われている研究の結果を持ち帰り、それを広めることに意義がありました。海外から入ってくる情報が非常に限られている中、その価値が高く評価されていたのです。

これはビジネスについても同様のことがいえます。

日本人が国内で初めて自動車を作ろうと考えたときに必要だったのは、ゼロから自動車というものを発明することではなく、欧米に行って自動車について調べ、それを持ち帰って再現することであったはずです。

宮崎駿氏が監督したアニメ映画「風立ちぬ」の中で、航空技術者の堀越二郎をモデルとした主人公は航空機の設計に熱中しますが、その技術もやはり欧米で学んだものでした。

つまり、最も大切なのは自動車や航空機についての知識であり、いかに海外から最新の情報を得て活用するかが重視されていたと考えられます。

日本の他国から技術を学んで成長してきた歴史から今の「教養=知識量」みたいな価値観が生まれたということ。しかし、経済成長し大国となった今、その考え方は改めないと新しいものは生み出せないのではないかと思う。特に今まで牽引してきた半導体などの分野で現在、後塵をきすようなポジションにいるのはこうした背景があると考える。伝統的な生産物を守りながら新しいものを生み出していく土壌のようなものの生成が急がれる。

ネット上に溢れる情報の弊害

ネット上にあふれかえる情報の弊害

知識や情報については、その重要性が低下しているだけでなく、情報量の増大による弊害さえ起きていることにも留意する必要があります。

たとえば経済学の世界では、長きに渡り、人間は「幅広い選択肢の中から合理的に最も優れたものを選べる」ことを前提としてさまざまなモデルが組み立てられてきました。

しかし現実には、人間が把握できる選択肢には限りがあります。世界中のさまざまな情報にアクセスできるといっても、そのうち実際に目に留めることができるのはごく狭い範囲でしかありません。

つまり「幅広い選択肢の中から合理的に最も優れたものを選べる」というのは幻想のようなもので、多くの場合、人間の選択は「視界に入ったごく狭い範囲の中で、意識を向けることができたものから相対的によさそうなものを選んでいる」にすぎないわけです。

近年の生活において、この「視界に入ったごく狭い範囲」というのが何を指すのかといえば、「グーグルなどによる検索の上位に出てきた情報」ということになるでしょう。検索上位に入らない情報は、多くの人にとって存在しないも同然です。

グーグルのアルゴリズム(処理手順)による情報のランクづけが私たちの選択を規定しているとも考えられるわけです。

ネットはなんでも調べられて便利な一方、情報の正確性が担保されていないなど弊害も多い。多く出回っている情報、読まれている情報を一押しとして上位表示するアルゴリズムでAIが勝手に表示順位を決めているので、変な情報に振り回されることも。情報ソースには気をつけて読んだほうがいい。出典や科学的根拠の乏しい情報にはご注意を。

もはや知識量=教養という常識は通用しない。情報をどこから得るのかということさえしっかりしていれば、情報格差はだいぶ縮まった世の中。情弱にならないためにも日頃から情報感度を高め、アンテナを貼ることが騙されない秘訣。情報をうまく取り扱えないと搾取される側になりかねないので注意が必要です。

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