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本物の教育|林 純次 , 阪本 凌也|〜偏差値30からの京大現役合格〜

学校でコミュ障が原因でいじめられ中学受験に失敗。そんな自分が高校で出会った先生と二人三脚で京大理学部に進学した学びの物語。著者と教え子による大学受験を超えた教育論。

高校3年 受験勉強の指導 林純次

高校3年生になり、本格的に受験対策が始まりました。阪本君の過去問題の成績は、簡単な回のもので200点満点中140点レベルに到達できていました。それでもこの成績では、最難関の大学で合格を確保するには遠く及びません。

私は、彼を含め全員の成績を引き上げることを考えていました。クラスの平均点も、受験者平均から見て 25 点プラスにまで到達していましたが、まだまだ空気が緩いのです。通常の難度であれば、平均約160点、受験者平均から見てプラス 35 点にはできるだろう、阪本君個人を見れば170点くらいまでは確実に向上できるだろうと分析していました。

しかし、その実現のためには、 大鉈 を振るわなければならないという結論に達します。

そこで、センター試験対策の授業として、土曜日に「国語」を4コマ連続で設定してもらい、毎週1年分の過去問題を本番同様 80 分間で解答させ、その後、私が解説するという構成にしました。

そして、これ以上ないだろう、というほど集中力と緊張感を高めて授業を展開しました。安易な不正解をするだけで、どやしつけます。特に〝現代文の読解〟問題では容赦しません。それは、センター試験というゲームに対する緊張感の欠如を許さない、という姿勢の表明でもあります。

生徒たちからは、あまりの緊張感のため、「土曜日は朝から憂鬱でした」とか「よく腹痛を起こしていました」とまで言われました。

しかし、生徒に嫌われようとも、集中力を落とさせるわけにはいかないのです。古文や漢文は単語や文法を覚えていなければ、どうしようもありませんが、現代文は違うからです。よく言われることですが、現代文は 解答 がテスト用紙に印刷されている 珍しい 教科なのです。特にセンター試験は選択式なので、その要素が強くなります。

ですから、高得点を狙うのであれば、早く正確に解答を探すことが求められる、と言い換えられます。この精度を上げるには高い集中力が欠かせません。

私は、 「『ウォーリーをさがせ!』の言語版だと思え。それを死ぬ気でやれ!」

と指導しています。

成績を上げるための指導に熱が入る先生。それに食らいついていければいいが、実際はドロップアウトする生徒もいることだろう。いかに落ちこぼれを作らずに指導するかそこが肝。やる気がある子はいいがそこまで大学受験に力を入れていない子はすぐに振り落とされるだろう。

京都大学入学後 林純次

同年齢の人間が、同時期に同空間に長時間閉じ込められる環境下では、人間心理が鋭敏に捉える対象が、自己との〝差〟になるのは必然でしょう。 「あいつの服装が気持ち悪い」 「あいつの喋り方はうざい」 「あの子の態度、先生に媚びてるよね」

などの言葉はいずれも、 「あいつの服装は 俺たちと違って、気持ち悪い」 「あいつの喋り方は 普通に考えて、うざい」 「私たちはやらないけど、あの子の態度、先生に媚びてるよね」  と具体化できると思うのです。

極めて限定された学校という社会は同調圧力を持ち、特に日本の学校システムでは〝違い〟が顕在化しやすく、その〝違い〟がストレスに感じられると、いじめに発展することがあるのです。

実際に、いじめの発生場所は教室がダントツに多く、いじめている人間は クラスメイトが一位です。この点について国際比較をした 研究報告もあります。

イギリスではいじめが、「知っているがほとんど話したことがない」関係で最も発生しやすく( 47%)、次いで「まったく知らない」関係( 41%)となっていますが、日本では「遊んだり話したりする友だち」( 49・5%)が最も多く、「知っているがほとんど話したことがない」関係が 46・7%、「まったく知らない」関係では3・7%となるのです。

いじめ研究の第一人者である森田洋司大阪市立大学名誉教授は、日本のいじめが圧倒的に「教室」で、欧米では圧倒的に「校庭」で起きていることを明らかにしています。

したがって、強く同調圧力が働き、一集合内における〝違い〟が明らかになりやすいような学校システムにこそ改善点を見出すべきではないでしょうか。

私は教師として、生徒に「クラス(チーム)一丸となれ」とは決して言いません。「自分のやるべきことをやって、結果を出しなさい」と言います。社会のマナーから逸脱していると判断すれば叱りますが、それ以外の面での多様性を重んじ、結果を出すことに集中させます。

だから、阪本君の場合、小学校よりも中学校、中学校よりも高校の受験コースの方が居心地のよい場所に成りえたのです。それは、単純に彼に合う仲間が多かったというだけではなく、システムとして同調圧力が弱い組織作りをしていたからだと言えます。

同調圧力の中でのいじめ。みんなと違うことは悪いことでもなんでもないのだが、学校生活の中ではそれが原因となりいじめに発展することがほとんど。僕は持ち物が原因でいじめられたことがある。当時の僕はなぜいじめられていたかがわからず苦悩したのだが、大人になってみると生活レベルの違いがいじめに発展したのだろうということが容易にわかるように。

教育現場で日々起こることを受験勉強になぞらえて物語化。先生と生徒の受験勉強記。

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