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時間は存在しない|カルロ・ロヴェッリ|時間の常識を根底から覆し時間の本質を明らかにする

時間の常識を疑い根底から覆す。時間は同じように経過するわけではなく、過去から未来に流れるわけでもない。ホーキングの再来と呼ばれる天才物理学者が、世の中には根源的な時間は存在しないという大胆な考察を展開!時間の本質に迫る。

時間には方向がない

過去と未来は別物だ。原因が先で、結果が後。痛みは傷ついた後に訪れるのであって、傷つく前には痛まない。コップは割れて無数のかけらになるが、無数のかけらが元のガラスに戻ることはない。後悔し、苦しみ、幸せを思い出すことができたとしても、過去は変えられない。いっぽう未来は不確かだ。未来とは望みであり、不安であり、開かれた空間であり、ひょっとすると運命なのだ。未来に向かって生き、未来を形作れるのは、今のところそれが存在しないから。すべてが、まだ可能なのである。時間という線には決まった向きがある。時間は矢であって、二つの端は異なっている。

時間に関して重要なのは、そこだ。過ぎる速さではなく、二つの端が異なっていることこそが、時間の基本。未来への不安や記憶の不思議さを思うときにはっきり感じるあの移ろい、そこに潜むのが時間の秘密であり、それが、時間の謎について考えるということなのだ。この「流れ」は、いったい何なのか。この世界の基本原理のどこに落ち着くのか。この世界のメカニズムの 襞 の何が、かつて存在した過去とまだ存在していない未来を分かつのか。わたしたちにとって、なぜ過去はこれほどまでに未来と違うのか。

一九世紀と二〇世紀の物理学はこれらの問いに遭遇し、じつに意外で信じがたい事柄に 搦め捕られることになった。「所変われば時間の速さも変わる」という取るに足りない事実とは比べものにならない、途方もないことが明らかになったのだ。過去と未来、原因と結果、記憶と期待、後悔と意図を分かつものは、じつは、世界のメカニズムを記述する基本法則のどこにも存在しない。

子供の頃は時間が過ぎるのが遅かったと感じる大人は多い。僕もその1人だが、この「所変われば時間の速さも変わる」という事実にさらに一歩踏み込むと時間の流れについて考察が深まる。不可逆的な時間の性質を過ぎる速さは置いておいて、二つの端が異なることだけに着目するのは真理だ。

時間の最小単位

これまで紹介してきた相対論的物理学の奇妙な風景は、量子、すなわち空間や時間の量子的な性質を考えに入れると、ますます異様なものになる。

空間や時間の量子的な性質を調べる分野は「量子重力」と呼ばれていて、わたし自身もこの分野を研究している。科学者の共同体に広く受け入れられた量子重力理論はまだ存在しておらず、実験で裏付けられたわけでもない。わたしは科学者としての人生のほぼすべてをかけて、この問いの答えになり得るものを構築しようとしてきた。ループ量子重力とか、ループ理論と呼ばれているものだ。みんながみんな、この理論に期待しているわけではない。たとえばひも理論を研究する友人たちは別の道を歩んでいるわけで、どちらが正しいのかを巡って今も激しい論戦が繰り広げられている。まあ、激しい議論も科学の成長の糧であって、この論争にも早晩決着がつくのだろう。ひょっとすると、それほど待つこともなく。

いっぽう時間の本質に関しては、ここ数年の間に意見の違いが減ってきており、ほとんどの人にとって、多くの結論がかなり明確になってきた。明らかになったことの一つに、量子を考慮すると一般相対性理論が残した一時的な足場(については第四章で説明した)が崩壊するという事実がある。

普遍的な時間が砕け散って無数の固有時となるところまではよいとして、そこに量子を織り込むと、これらすべての時間が次々に「揺らぎ」、雲のように散らばって、ある種の値は取り得てもほかの値は取り得ない、という見方を受け入れる必要が出てくる。そしてこれらの時間のかけらは、もはや第四章で描写した時空のシートを形成することができなくなるのだ。

時間の最小単位の考え方だとある種の値は取り得てもほかの値は取り得ないなどという不可思議な状態が出現する。常人には理解し難いその時間に関する考え方はどう説明しても理解に苦しむので、この書籍のように言い切ってくれると潔い。

時間とは人間の営みあってのみ存在するものだと言ったらあなたはどのように感じるだろうか?その答えを探す旅に出かけませんか。

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