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安岡正篤 人間学|神渡 良平|日本の指導者の知恵袋。東洋思想と帝王学の真髄!

第二次世界大戦以降の日本の歴代総理が師事した人物である安岡は次代の政治家、官僚、財界人たちに何を教えてきたのか? 指導者を目指すなら役に立つ知恵袋となるであろう東洋思想。

読書と運命

運命は動いて止まないがそこにはおのずから法則(数)がある。そこで自然界の物質と同じように、その法則をつかむと、それに支配されないようになる。自主性を深めていって、創造性に到達する。つまり自分で自分の「命」を生み、運んでゆけるようになる。「宿命」というものにならなくなるのである。 (『知命と立命』)

安岡正篤は、さらにこのように述べる。 「われわれの命をよく運命たらしめるか、宿命に堕させしむるかということは、その人の学問修養しだいである。これが命を知る〈知命〉、命を立てる〈立命〉の大切なゆえんである。人間は学問修養しないと、宿命論的存在、つまり動物的、機械的存在になってしまう。よく学問を修養すると、自分で自分の運命を作ってゆくことができる」

安岡は求道の日々、 王陽明 の『 伝習録』を読んで、陽明が 陸象山( 南宋 の大儒)に一目置いていたことを知り、その名を心にとどめていた。するとある日、敬慕する藤原惺窩 も象山から得たところが少なくないと知り、たまらなくなって象山の全集を手に入れ、読みふけった。そして象山という人物に驚嘆した。安岡は『陽明学十講』(明徳出版社)にこう書き記している。 「私はしばしば感嘆の声を発し、ある時は巻を 掩 うて深く内省に沈み、また夜半過ぐるも 危坐 して、 凝然 この書に対し尽くしたこともあった。私は実にこの書によって自己に 反り、事物の根本を 摑 むことができ、一段の骨力を増すことができたように思う」

伝記作家の 小島 直 記 は、読書は「文字で心を洗い、心のノミで顔を彫る」方法だという。読書は筆者に対峙し、自分の骨力を養っていく方法なのだ。

佐藤一斎 の『 言 志 四 録』にも、知命・立命に関するこんな一節がある。東洋の学問の根底には、知命・立命という自覚が濃厚にあるようだ。 「人は須らく省察すべし。『天何の故にか我が身を生み出し、我をして果して何の用にか供せしむ。我既に天の物なれば、必ず天の役あり。天の役供せずんば、天の咎必ず至らむ』省察してここに至れば、即ち我が身の苛くも生くべからざるを知らむ」

この信念こそ尊ぶべきではないだろうか。

運命を飛び越えて自身の人生を切り開こうとするにはそれなりのパワーや知がいる。読書はそれをサポートするのに最適な習慣だと思っている。知識はいくらあっても困らない、むしろ役に立つことの方が多いので隙間時間を使って読書する習慣を身につけることをおすすめします。今はKindle本なんかはスマホで読むことができるので、本を持ち歩く必要もありません。僕はKindle本:紙の本=9:1ぐらいです。

自己啓発の工夫

例えば銀行員であれば銀行の仕事さえ 几帳面 にやっていればそれでいいかというと、そうではない。人間は一つには自然の存在だから、自然の法則にも支配される。われわれの精神生活が単調になると、物の慣性・惰力と同じ支配を受け、じきにエネルギーの活動が鈍ってきます。つまり人間がつまらなくなります。平たい言葉に案外妙味があるものですが、「 彼奴 は眠たい奴で、あいつと話をしていると眠くなる」というような人間がよくあるものです。つまり、内容のない、決まりきった人間になってしまうと、精神活動が鈍ってしまう。 (『活眼活学』)

安岡正篤は人倫の道をわかりやすく説く東洋思想の現代への名解説者だといえる。先賢の知恵がよく消化され、われわれにもわかりやすい言葉となって現われる。ここでは精神を 怠惰 にさせないための工夫について、安岡のアドバイスを述べよう。安岡の書を読んでいて教えられるのは、こんな話が随所にちりばめられているからである。

まず第一は、良い師や良い友を持つことである。良い師のもとには内容のある人が集まっている。そんな人と交際すると、思いがけない 示唆 や活気が与えられる。それに、できるだけ生活内容を異にした友達と交際するほうがいい。自分が知らなかった世界に目が開かれるからだ。

人間にとって一番刺激になるのはやはり人間だ。

安岡は生前多くの勉強会を主宰していたが、先賢の書を勉強することもさることながら、門下生たちに刺激になる友と交わらせるということも念頭にあったのではなかろうか。

工夫のその二は読書。それもつまらない時間つぶしや気晴らしのための読書ではなく、内面生活を豊かにしてくれる読書をすすめている。そうすることで、潜在エネルギーを蓄積することができるという。氷山は水面下に大きな氷塊を抱えていればこそ、衝突した船舶をも沈めてしまうパワーを持っている。人間も同じである。

このことについてもっと知りたい人は、安岡正篤著『東洋倫理概論』(関西師友協会)を読まれることをおすすめしたい。戦前の本であり絶版になっていて入手困難だったのを、関西師友協会で復刻したものである。これはさらに致知出版社から『いかに生くべきか』と改題され復刻出版された。

社会人になると仕事で勉強どころじゃなくなるという人がいるが、中には仕事をバリバリ続けながら勉強を怠らない人もわずかにいる。そこで差が生じていくのである。勉強しない人は自然淘汰され第一線から遠ざけられてしまう。スキルのアップデートは社会人にとって必須項目です。

メンターみたいなみたいな師事する人がいない人にとって書籍は最高な師匠となる。先人の知恵を借りて自身をアップグレードしましょう。

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