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ルポ 難民化する老人たち|林美保子|ひと昔前は、老後と言えば「悠々自適」という言葉が決まり文句のようだったが…

ひと昔前までは老後のイメージは「悠々自適」だったのだが、現在はそうでもない。会社を退職してからは仲間と趣味に興じて夫婦で旅行に出かけ、気前よく子や孫に小遣いを渡して気を引くなんてことができなくなってきている。そんな老後難民を取材。

仕事がない〜フリーランスの末路〜

私がフリーライターになったのは、三一歳のとき。最初の頃は、「フリーになりました」と知り合いに声をかければ、いわゆる「ご祝儀案件」が次々と飛び込んだ。バブル時期とも重なり、とんとん拍子に仕事が増えていった。

フリーになって二年経った頃、最初に仕事をくれた編集プロダクションから、「社員にならないか」という誘いを受けた。しかし、私は、「フリーは三日やったら、やめられません」と言って、断った。仕事はきついものの、毎日満員電車に詰め込まれて会社に通わなくてもいい自由気儘さが性に合っていた。ゆくゆくは、実力をつけて、本を出せるようにもなりたい。「目指せ! 印税生活」を夢見ていた。

しかし、一〇年経った頃から、仕事が激減し、先細りとなっていった。原因は、ライターとしてのセールスポイントを見つけられないまま、ただ便利に使われるだけで歳をとってしまったからだった。その後、もがき苦しみ、低迷の時期も長かったが、何とか軌道修正することができた。

フリーライターになるのは、簡単だ。極端な話、名刺を作り、フリーライターを名乗ればいい。しかし、なるのは簡単でも、続けるのはむずかしい。

ほとんどのフリーライターは特に契約書を交わすでもなく、口約束で出来高払いの仕事を受ける。そして、仕事の打ち切りも、突然やってくる。電話一本で、あっさりと告げられるのだ。

独立した頃はバブル全盛期で、いま振り返れば、どの仕事もギャラがよかった。当時はそれが三〇代の人並みのレベルだと思っており、歳を重ねれば実力も経験もついていくから、年収は当然の如く、もっと上がっていくだろうと思っていた。しかし、実際には、バブル崩壊、出版不況と、時代はライターには味方をしてくれず、原稿料の単価は下がるばかりだ。

フリーランスとは、私のようなライターのほかにも、デザイナー、イラストレーター、カメラマン、翻訳家、通訳、プログラマーなど、特定の企業や団体、組織に帰属せず、自らの能力で仕事をしている者を指す。

自由業なので、定年がない。だから、おそらく、多くのフリーランスは、当然のように歳をとってもずっと働けると思っている。しかし、フリーランスという道の向こうに待ち構えているのは、淘汰という現実だ。そう考えると、年齢のリスクは、サラリーマンよりも高いと言えるかもしれない。

フリーランスになろうとする人に警告。常にスキルをアップデートし続ける覚悟がないならやめておいた方がいいです。アプリやプログラミングの技術は日々進歩しています。求められるスキルも日々進化。それに追従するフットワークの軽さが高齢になっても維持できるか?自分に一度問うてみてください。

年金パラサイト

私の親類には、二七歳のニートがいる。高校二年のときにいじめが原因で不登校になって以来のニート生活で、一度もちゃんと働いたことがない。せっかく大検の資格を取ったのに、「勉強したくない」と言って進学せず、就職もせず。「調理師とか職人とか、手に職をつけたほうがいいのではないか」と外野が口を出しても、何も変わらないまま一〇年が過ぎた。

昨年、父親のコネで工場の面接試験を受けたが、不採用。「コミュニケーション能力がない」というのが理由だった。それ以来、六五歳の父親はあきらめてしまったのか、何も言わなくなった。友だちがいないわけでもない。ただ、社会性という点では訓練されていないのだろう。

要介護5の祖母の世話をする母親が用事で外出する際には、代わりに祖母の介護を引き受ける。車で家族の送り迎えもする。家族にとっては、素直でやさしい息子だと言える。いつしかパチンコ通いをするようになり、いまではパチプロ並みの腕前で、月一〇万円ほど稼ぐこともある。しかし、それもひとえに親のスネを 齧っているからこそできるだけにすぎない。パチンコへの熱意や能力を別のことに向けられたらいいのだが……。 「彼はこのまま歳をとったら、老後は生活保護しかない」とクギを刺す私に、母親は困り顔で返事に窮した。

私が若い頃には、〝家事手伝い〟と称する花嫁修業中の箱入り娘以外は、学校を卒業すると親の扶養からはずれ、経済的に自立するというのが大前提にあった。それは、大人として最低の条件であったように思う。社会人になっても実家に居続ける者は、食費代として給料の一部を親に渡すのが常識とされていた。それは、大人になっても、便宜上家に住まわせてもらっているという見解だったと思う。

一九八〇年代になると、親にに家事を任せながらも収入の大半を自分の小遣いに充てるという、いわゆるパラサイトシングルが跋扈するようになる。ただ、この時代の未婚者たちは、社会人として一人前の給料をもらっていた。

近年、パラサイトする子どもたちの多くは、ちゃっかり型のかつてのパラサイトシングル族と違い、自活能力がないなど経済的な問題を抱えている。そのため、親たちは年老いてもなお、潤沢とは言えない年金で子どもを養わざるを得ず、重い枷をはめられた生活を強いられている。

パラサイトというが寄生する先があるのはまだマシな方。誰にも頼ることができないで苦しむ人は案外多い。そうした人から見ると年金パラサイトはある意味羨ましい存在なのではないだろうか。

老後のことを考えて若いうちから経済的自立を目指し資産運用する若者が増えている。でもそれは意識の高い層に限ってのことで下層の人はリボ払いなどの借金で無駄な出費を余儀なくされている。これは学校でお金に関する知識を教えてこなかった日本の教育のせいでもある。お金を稼ぐことは汚いことでもないのにな。

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