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それ、なんで流行ってるの? 隠れたニーズを見つけるインサイト思考|原田 曜平

なぜ美味しさや実用性よりもインスタ映え重視でものが売れるのか?双子コーデやダンスの裏にある若者心理とは?「マイルドヤンキー」と「さとり世代」という言葉を生んだマーケターが教えるヒットの法則。

「マイルドヤンキー」はこうして生まれた

「昔はたくさんいたヤンキーのあんちゃんたち、一体どこに行ったんだろう?」 「最近の若いヤンチャな子は必ずしも東京が好きじゃないみたいだし、かといってガンガン稼いでお金持ちになりたそうでもないなあ……」 中高年が抱くそんなモヤモヤした気分を、「マイルドヤンキー」という言葉はズバッとつき刺し、晴らしてくれた面が大きかったのだと思います。そしてこの言葉は一見表面的で、コピーとしては最低にも見えますが、若者の実態にきちんと基づき、過去の若者との違いも言い当てており、もやもやしたオジサンたちの心のツボをついたのでしょう。 「そう、それ!」――オジサンたちのそんな言葉が聞こえてくるようでした。「そう、それ!」と言わせたものが、心をつかむ「さとり世代」 も同じです。 「(自分たちが若かった頃もそうだったから)若者はエネルギッシュな生き物だ」という古来の常識に凝り固まっていた年配層。でも最近の若者たちは明らかに元気がない、覇気がないように見える。これって自分の周りの若者だけ?一体なんなんだろう??……ああなるほど、今の若者たちはさとっているんだ! 経済の低成長時代に生まれ、上昇志向も物欲も少なく、あたかもさとっているように見えるんだ! 「そう、それ!」 オジサンの「そう、それ!」という発声を、まさに目の前で聞いたこともあります。とある企業のマーケティング担当者の方に、私を含む博報堂のマーケター陣が、中国市場における男性の美容に対する意識の変化について説明していたときのこと。しかし、彼はレクチャーを聞いても、どうにもピンと来ていない様子。 そこで私はぱっと思い浮かんだ言葉を言いました。「要は中国市場でも、日本の若年男性のように〝オトメン〟が増えている、ということです」。 すると彼は大声で「そう、それ!」と私の目の前で叫んだのです。

最近では母親と友達のような関係を繋ぐ男子が増えスキンケアなども母親から学ぶことも多いので、化粧水や乳液、美容液のアドバイスを受けることも。そんなところから若者男子のスキンケアが浸透していき今では僕のようなおじさんでもそうしたスキンケアを行うように。男性の肌は強いと思われがちだが女性以上にスキンケアが必要なのだということを知って僕も始めました。

絶対NGだったはずの掛け合わせ『うんこ漢字ドリル』

2017年3月に発売された『うんこ漢字ドリル』(文響社)は同年 10 月時点で累計270万部以上のスーパーヒットとなりました。ドリルのすべての例文に「うんこ」の語句を散りばめるというバカバカしさが、子どもだけでなく大人にも大受けしたのです。 昔から、子どもたちが「うんこ」という言葉に異常反応し、「うんこ」と口にするだけで必ず笑ってくれるというのは、お子さんを持つ親御さんや先生がたであれば、説明するまでもない事実です。 ただ、それを勉強用のテキストに採用するのは最大のタブー。誰もやってきませんでした。そもそも、「うんこ」は子どもたちが好きなもの。「勉強」は子どもたちが嫌いなもの。あまりに遠い場所にある両者であるがために、「合うわけがない」と思い込まれていたのかもしれません。 ところが、今まで誰も掛け合わせなかったこの二者を掛け合わせたら、「あれ、意外と合うじゃないか」と世間に喜ばれたのです。個別には知っていたもの同士が、新しく組み合わさることによって、別の発見が生まれる。その時には思わず言ってしまいませんか。「そう、それ! それだったんだ!」 この背景には、親の世代の意識の変化が大きく影響していると思います。昔の親なら、下品な「うんこ」が勉強の領域に入ってくるなど、断じて許さなかったでしょう。しかし、現在小学生の子を持つ団塊ジュニア近辺の世代の意見は、幼い頃から親に眉をひそめられながら品のない漫画やテレビ番組に親しんできたため、上の世代に比べれば頭が柔らかい。「勉強」に「うんこ」が入ってくることにも寛容なのです。

うんこと漢字ドリルの掛け合わせ。斬新で実際中身を見てみても大人でも馬鹿馬鹿しくて面白いものなので、売れるのも納得。漢字を覚えるという如何せん面倒な勉強を楽しい時間にかえるこのドリルは子供たちに大受けし素直に勉強机に向かわせる為に役立っているようだ。

ビール業界にはもっと商機がある?

たとえば、若者たちはオクトーバーフェストなどのビールイベントが大好きです。これは「ビールの味が苦手な若者」と矛盾するのでは……と思いきや、彼らが求めているのはズバリ、「インスタ映え」するビールの写真。ビールフェスで提供される見た目に派手でオシャレなジョッキ、リア充を気取れる非日常的な雰囲気は、「ビールは苦いから苦手」を楽に乗り越えるのです。 海外製クラフトビールの瓶の写真をインスタグラムに投稿する若者も少なくありません。あのオシャレなデザインは日本のややオジサン臭い缶ビールとは一線を画していて、並べるだけで絵になります。 もちろん海外のビールであっても、基本的には「苦い」ことに変わりありません。 しかしここでも、「インスタ映え」は味の苦手意識を軽々と凌駕するのです。 究極的にいえば、若者たちの中には「苦かろうがなんだろうが、インスタ映えするなら金を払う」 人が増えているのです。実際、私がリーダーをつとめる若者研の女性のひとりは、「ビールは全然好きじゃないけど、海外のビールを飲んでいる自分を写真に撮ってインスタグラムに載せたいから、オクトーバーフェストに行く」とはっきり言っていました。 ビール好きにしてみれば腹立たしい発言かもしれませんが、若者の意見としては、それほど珍しいものではありません。彼らの「そう、それ!」は、「苦味のなかの美味しさ」にではなく、「ビールを飲んでいる自分のカッコよさ、海外製クラフトビールの瓶のオシャレさ」にあるのです。

最初はインスタにワインなどの写真をあげていた層の人たちが目を向けたのかどうかわからないが、インスタにクラフトビールを投稿する人が急増したのにはワインのそれと同じ感覚が受けたのだろう。

流行を紐解いてみるとそこには法則がある。ヒット商品から学ぶそれらは、世相を映し出したものでもある。最近ではインスタも少し落ち着いてきた感があるがまだまだインスタ映え写真には需要はありそうだ。

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