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幸せになりたければ、上機嫌にふるまいなさい。

「幸福であることは他人に対する義務」「幸福に対する第一の規則、それは他人に自分の不幸を話さないこと」などの名言、箴言で知られるアランの『幸福論』。戦争の不安に取り巻かれた二〇世紀初頭のフランスにおいて、「幸福とは何か」を哲学的視点から綴ったエッセイが原典です。『幸福論』といえば行間を読めなければ理解できないといわれますが、本書では著者アランの語り口を損なわず、読みやすく、わかりやすく現代語訳したうえで、原書が書かれた当時の状況の解説も加えながら、興趣深く読めるように工夫しています。

不機嫌は、私たちを縛り、息苦しくさせ、締めつける。

たとえば、眠りたいときに眠れないといらいらしてくるものだ。そして、眠れないという焦りのために、ますます不眠になる。あるいは、最悪の事態のことを考えるあまり、それが悪夢のように頭中に広がり不安をかきたて、よけいに病気をこじらせてしまうこともある。さらには、呼吸を調えなくてはならないのに、よく世間で言われているように階段を見た瞬間に想像力が働いて動悸が激しくなるときがある。そして、怒りは一種の病気であり、咳と同類のものである。咳は、一種の苛立ちとみなすこともできる。咳の原因は身体の状態にあるのだが、その原因に想像力が割り込み、愚かにも、かゆいところを思い切り引っかくように、無理やり咳を出し切ってしまえば治るものだと信じ込んでいる。

動物が血が出るほど体を掻きむしることがあるがこれはストレスやイライラからだろう。一方人間は、思考や情念によって自らの心臓を興奮させ、血潮を騒がせることができる特殊な動物だ。不機嫌はタチが悪い。私たちを縛り、息苦しくさせ、締めつける。憂鬱にさせ哀しみのどん底に突き落とすことだってある。苛立っている人は、それを助長する振る舞いを続け、自分を締めつけこわばらせる。

どんな堅実な判断さえも揺るがすような偶然の一致が起こってもおかしくない。

知り合いの男が運命を知るために、占い師に手相を見てもらった。遊び半分だったのでその見立ては信じなかったそうだ。事前に訊いてくれたなら、やめたほうがいいと忠告しただろう。占いはどうも危うい感じがするからだ。見てもらう前なら占いなんて信じていないというのは簡単だ。占ってもらっていないのだから、信じるも何もない。ただ、占ってもらったすぐあとには信じられなくても、しばらくするとだんだん難しくなっていく。占い師はそれを承知でこう言う。「信じないと言うなら、何を怖がることがあろう」。こうして罠にはまる。私自身、占いを信じるのは怖い。どんなことを告げられるかわからないからだ。

朝の情報番組で占いのコーナーがあるとついつい見てしまう。自分の星座が良い運勢だとちょっと得した気分になる。そして悪い結果だと、全人口の12分の1の人が同じ運勢なのだから信じるには値しないと結果を無視しようと思うのだがなんだか損した気分に。テレビの企画で占い師に占ってもらった運命の人が実際に現れたらその人はどうするかと言うようなドッキリを放映していた。まさかと思いつつもその出会いに引き寄せられる人たちも多いことがわかる。ドッキリでなくても、偶然の一致は往往にして起こるものだ。100人占って、1人でも占いがバッチリ当たれば(偶然に)その占い師は当たると評判の占い師となるだろう。いろんなパターンの占い結果を用意して少数でも当たった人がいれば当たる占い師だ。

これはサギなんかと同じで、株取引でその日の株が上がるか下がるかを教えますといって何人もの人に接触し、当たった人からキックバックを受け取る。ほんの数パーセントのキックバックでも儲かるアホみたいなシステム。株取引の予想は上がるか下がるかしかないので半分の人は当たるわけだ。多くの人に両方の予想をしていれば、当たった方に近づきほら当たったでしょと手数料をだまし取れるわけだ。

何事をやるのしても、そこから楽しみを得られれば、それが進歩の証となる。

幸福はつねに私たちから逃げていく、と言われている。与えられた幸せなら、それは否定できない。それは実際には幸福とは言えないからだ。しかし自分の力でつくる幸福は、けっして人を裏切らない。それは学んで手に入れていく作業である。人間はけっして学ぶことを止められない。知れば知るほど、たくさん学べるようになっていく。ラテン語学者になる楽しみは、学問が進歩すると、学ぶべきことが減るのではなく増えていくからである。同じことは、音楽家になる楽しみにも当てはまる。

「アリストテレスは、真の音楽家は音楽を楽しめる人間であり、真の政治家は政治を楽しめる人間である」という言葉を残した。「楽しむことが能力の証である」と言うことだ。これは理論や学説を越えて私たちを熱狂させる完璧な言葉だ。

三大幸福論(ヒルティ、ラッセル、 アラン)の一つを見ていったが、そこには人生の気づきが多く記されている、幸福とは何かはもちろん、自分が幸福になるためにはどのようなアプローチがあるのかまで記されており病んだ心の処方箋となる書籍だった。

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