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ホモ・デジタリスの時代|ダニエル・コーエン

アーレントが分析したナチス台頭時の群衆と現在の大衆を弁別した上で、著者は、リベラル左派エリート層にも「労働のない労働者の社会」にも警鐘を鳴らす。ポピュリストはなぜ台頭するのか、GAFAとはどう付き合うべきか。AI革命で人間の仕事はどうなる。マルクスをはじめフーラスティエやクルーグマンやセンら経済学者、ラカンやドゥルーズ=ガタリら思想家のみならず、『ホモ・デウス』、ネットフリックスや2ちゃんねるまで目配りよく援用し、iPhone世代の将来を左右する問題を考察。

コンドラチェフの二度目の死

経済成長は、金融危機が勃発する以前の二〇〇〇年代初頭から足踏み状態だった。二〇〇八年、リーマン・ブラザーズ社の倒産とともに、金融危機の衝撃波が全世界に広がり、世界中の国々が同時に金融危機に見舞われた。二〇〇九年、工業生産と世界貿易は二〇%以上も下落した。三〇年代の大恐慌でさえこれほど短期間にこれほど急落しなかった。金融危機が完全に収まるのには一〇年ほどかかった。

リーマン・ショックは記憶に新しい。ちょうど株に興味があって書籍で勉強している最中の出来事だったので鮮明に覚えている。実際書籍などで勉強してから投資を始めようとする僕の用心深い(悪く言えば思い切りの悪い)性格が幸いして株の購入後に大暴落するなんて事態は避けられた。結局その後もあの大暴落が頭に残っていたため、実際に株式を購入するというリスクはお金をたいして持っていない僕にとっては耐えがたいものとしてうつるのだった。

2016年はひどい年(アンヌス・ホッリビリス)だった

ポピュリズム驚愕の第二幕は、二〇一六年十月のトランプの選挙だった。イギリスの場合と同じ恨みが噴出したのである。トランプに投票した三分の二は「下流白人」だった(アメリカ風に言えば、「低学歴の白人」)。彼らが暮らすのは、都会のエリート層がニューヨークからロサンゼルスに向かう飛行機の上空から「通過する場所」と呼ぶ地域だった。「次世代の暮らしぶりは、今日よりもよくなっていると思いますか」という質問に対し、ノーと答えた人々の六三%はトランプに、イエスと答えた人々の五九%はヒラリー・クリントンに投票した。トランプを支持したのは、農村部で暮らし、大都会の価値観を毛嫌いする、苦悩する人々だった。ではトランプは彼らに何を提示したのか。トランプは、自分たちをお払い箱にする世の中に居場所を維持しなければならないという彼らの苦悩と困難に理解を示したのである。

誰でも自分の境遇に心を寄せてくれる相手には期待するものだ。その表れが選挙に出たのだろう。隠して強行なトランプ政権が誕生したわけだが、実際のところ国民の支持は政策含めそれほど危惧したようなことにはなっていないように思う。世界をこねくり回すトランプだが安全装置は作動しているようだ。

よそ者恐怖症

驚くべきは、今日、外国人嫌いという現象が世界中で確認できることだ。外国人嫌いを前面に打ち出す極右政党は、いたるところで勢力を伸ばした。経済危機の影響や社会的な格差の広がりから比較的守られているスカンジナビア諸国も例外ではない。ラカンが示唆するように、新たな外国人嫌いは、誰であろうとよそ者を嫌う恐怖症である。

僕は幼い頃から引っ越しを繰り返してきたので学校を転校してよそ者扱いを受けることも多々あったが、そこは子供ながらなんとか順応してきた。社会人になって転職をする機会があり、その時のよそ者感は今まで経験したことのないものだった。

iPhone時代

二〇〇七年のiPhoneの発売により、インターネットのつくり出す傾向は、特に若者の間で加速した。心理学者ジーン・トゥエンギは著書『iGen』において若者の文化的な行動を詳細に分析した。iPhone世代の若者は、一日六時間ほど機械に費やす。メッセージのやり取りとソーシャル・ネットワークにそれぞれ三時間である。子供たちは自分専用のiPhoneを枕やマットレスの下に入れて寝る。若者は、睡眠、学校、勉強に一日一七時間を費やし、残りの時間はおもにニュースメディアとともに過ごす。

僕もauとドコモがiPhoneの取り扱いを開始する少し前にSoftBankで初iPhoneを購入それから2年サイクルぐらいで買い換えているが、iPhone 11 Proは三眼カメラの配置が気に入らなくて次回の5G対応スマホになるまで買い控えることに。発売前までこのデザインが物議を醸し出し、みんな買わないのかと思いながら過ごしていたけど、蓋を開けてみれば、みんなYouTubeに開封&レビュー動画あげてるじゃないかww

GAFAが提唱するアルゴリズム化された暮らしではプライバシーはなくなりその代わり便利なサービスが消費を促進する世の中になるだろう。僕の住んでる地域でもいつの間にかUberEatsのサービスが始まっていたり暮らしは消費を前提とすれば豊かになる一方。AIと共存するための革命の哲学がここに。

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