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ダーウィニズム心理学 記憶、感情、意識の謎に答える|坂下 景

ここにはすべての物事の原理がある。記憶、言語、思考、感情、性格、意識など心についての根源的な謎に、生物進化の観点から生まれた「感情のロジック・ツリー理論」「意識のトポロジカル・ループ理論」「言語の意味の身体運動感覚説」の3つの理論で、明解かつ簡潔に答える。

Q4 記憶は何種類あるか?

A 回路の種類で記憶は7つに分かれる

記憶というと、すぐに思い浮かぶのは英単語の暗記のようなものです。しかし、実は記憶の種類は一つではなく複数あるのです。そして、一つ一つが異なる方法で、異なる脳の部分により記憶されています。記憶の分類は研究者により異なり、呼び方のまた異なっています。ここでは、記憶を脳の回路別に分類することで、7つに分類して考えます。それは、一時記憶、エピソード記憶、意味記憶、運動性記憶、プライミング効果、ワーキングメモリ、感情記憶です。これらの記憶はそれぞれ脳の異なる場所で行われています。記憶すべき対象の特性に合わせて、色々なシステムを発達させたのです。

これらすべての記憶システムは同時に稼働します。情報を選別して各記憶システムに送られるのではなく、すべての記憶システムが同時に記憶しようとするわけです。それぞれの記憶システムにより記憶の向き不向きがあるので結果として、各記憶システムごとの記憶に分類されることになります。記憶を効率的に行うのにベストな記憶デバイスが勝手に選択されているなんて人間の脳がいかに緻密にできているかが伺えます。

Q30 感情の進化における役割とは?

A 感情の対立により知性を生み出した

感情は、進化の中でなぜ発達したのでしょうか。これを進化の考え方から考えてみましょう。感情を持っていて行動しない生物というのはいるでしょか。あるいは、行動はしても感情を持たない生物というのはいるでしょうか。もし、行動しない存在に感情があっても何の役にも立ちません。役に立たないものは、進化の中では発達しないでしょう。したがって、植物には感情がないと考えられます。サボテンにテレパシーがあるという人や、樹木に話しかける人など、植物を感情のある存在と考える人がいますが、そのように思うのは、自己の感情が投影されているためであって、植物自身の感情があることにはなりません。

よく植物にクラシックを聴かせると実のなり方が違うとかいう人がいるが、科学的ではない。何か他の理由で生育に影響を与えていると考えるのが妥当のようだ。

Q42 【嫌悪】とは何か?

A 不潔に対する態度

2番目の基本感情が、嫌悪です。嫌悪は、嫌い、気持ち悪いともいいます。動物は生きていく上で、近づくべき対象と離れるべき対象があります。近づくべき対象とは食物、異性、仲間、安全な環境です。こうしたものに対して近づく動物は生き残り、離れると死んでしまいます。そのため、自然淘汰によりこうしたものに対して近づこうとする感情が発達しました。これが動物にとって1番目の基本感情であり、私たちはこの感覚を興味と呼んでいるのです。それに対して、腐敗した環境、毒物などに近づくのは危険です。近づいた動物は死に、離れる動物は生き残れます。自然淘汰により、こうしたものに対して離れる感情が発達しました。それを私たちは嫌悪と呼んでいます。嫌悪は興味の反対で、その対象から離れていこうとする感情です。

人々はこの嫌悪によって自分に害が及ぶのを未然に察知し、避けようとするわけです。集団やコミュニティーの中でも、こいつは危険だと判断するような相手とは付き合わないのが常。もし付き合っている最中に、この嫌悪の感情を感じたら、そこから離脱するわけです。

Q50【不平不満】とは何か?

A 【怒り】の予測による気分

不平不満は、怒りから予測による分岐をした感情です。不平不満は不服ともいいます。怒りが、知性の予測作用によって生み出されたものなのです。不平不満は、怒りを抑えなければならない場面があって、それが避けられない時に発生します。その結果ぴりぴりした雰囲気を出し、周囲の仲間は避けるようになります。不快なため行動は張りつめられ、肉体的にも緊張し、精神的に興奮します。こうした肉体的準備である緊張は、怒りがその場にないために価値がなく、即断即決を促す興奮も無意味です。ほとんど不適応です。ただ不快感のみが、以後の怒りの状況の回避を促します。これはもう、知性の副作用と呼ぶべきものでしょう。

日常生活でも不平不満をいうことが多い人がいる。その不満の内容を聞いているとほとんど自分の置かれた環境によるものだが、僕に言わせれば、不満があるならそこから早く離脱すればいいと思ったりもする。世の中それが仕事場であった場合は転職すればいいわけで、その勇気がないのなら現状で満足するしかないのだ。不平不満は周りの人のテンションも下げてしまうので他人に愚痴をこぼしてばかりいると鬱陶しがられるので注意が必要。

心理学で日常に起こる様々な問題を解き明かす書籍。この本を読破すれば、心の動きが可視化できて、様々な問題を客観視できるようなるので、気持ちの揺らぎの幅を抑えることができるようになります。

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