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なぜ心が病むのか|町沢 静夫

心のストレスは、誰もが抱えているもの。本書は、精神科医が様々な症例を分析し、現代人の心にしのび寄る病いの原因を解明。本当の生きる喜びを見つけるコツを説く。

現代社会はストレス社会

人間にとって、いったん高まった自尊心を下げるというのは容易なことではない。少しずつ自尊心を高めていくことには楽しみがあり、誰でもが努力する。この点は生活水準とよく似ている。しかし、小さい時から受験戦争に馬車馬のように駆り立てられてきた子供たちは、あまり自尊心が低下するという状況を体験することがないために、初めての体験で大きく挫折してしまう。そして反動形成的に、学校が悪い、先生が悪い、親が悪いというような形で世の中を呪い、次第に自分の部屋の中に閉じこもってしまって、どこにも出なくなるというケースがよく見られるのである。逆にまた非行グループに入り、そのグループから出ようとしても出られず、仕方なく非行を続ける子供もいる。

自尊心だけでなく、一度上がった消費レベルも下げて生活するのは難しい。僕はバブル期に予備校生で予備校でも自由になる金が結構あったので、遊び呆けてしまい志望校には合格できなかった。その影響は大学へ入ってからも続き、大学をサボってバイト先のゲーセンに入り浸り、ゲーム三昧だった。ストレスとは無縁だったためか、いざアルバイト先にそのまま就職する段階になって、人間関係がうまく構築できず、統合失調症を患うことに。バイトの時は責任もなく気楽にやっていたが、いざ就職となると、その適当さで僕の評判はだだ下がり。そんな若者時代でした。

今、陥りやすい心の危機

今や不登校児の数は、日本が世界一となっている。これは文明国の証明とも考えられるが、不登校という現象はまずアメリカに報告され、やがて日本にも見られるようになった。不登校が問題にならない以前も、日本でも学校に行かない子供たちはいたが、それは学校を怠けるというに等しいか、家庭の経済事情が悪くて不登校になるというのが大部分であった。発展途上国では、今でもそのような理由で登校しない児童は多い。しかし生活が楽になるにしたがって、学校に行けない、友達となじめない、先生が怖い、勉強で人に負けるのが辛い、といったさまざまな理由で学校に行くのをおびえ、不登校になるケースが多くなる。これが文明国の特徴である。このように学校に行きたいが怖くて行けない子供たちは〝学校恐怖症〟とするべきであり、勉強が嫌い、集団活動より個人行動が好き、もう社会に出て働きたいといった子供たちは〝登校拒否〟ないし〝怠学児童〟というほうがよいであろう。アメリカ精神医学の診断分類名を見ても〝学校恐怖症〟という言い方のほうが妥当である。

僕の中学生時代の親友が不登校児だった。体育の授業があると学校を休むのだが、その理由は聞いたことがない。実際に腹痛が起こったり発熱したりするので、その拒否反応は本物。学校恐怖症の子の中には自己中心的な子が多いというが彼はそんな人間ではなかった。人の痛みがわかるいいやつだったので、逆に学校での人間関係を構築するのが辛かったのかもしれない。

心の科学

心理療法は言葉のやりとりだけの問題ではない。言葉以前に、治療者、患者さんの人となり、お互いの気づかぬ感情の流れが重要である。言うなれば人間と人間の間にある雰囲気、ないし無意識的交流としか言いようのない何かが重要なのである。この辺のセンスの有無が治療の本質的なものである。ここでは言葉や論理は二次的なものでしかない。昨今、治療の実際にあっては、フロイトが言うところの「抑圧」の分析というよりも、自分のストレスや人格の問題に対する「気づき」の範囲を広げていくといったほうが妥当なケースが多い。このような考えはアメリカにも強い。さらに、自分探しであるアイデンティティの問題がボーダーラインの治療ならずとも中心になりつつある。このように心理療法は、根底は動かずとも、その上部にあるフレームワークが日本でも外国でも変化し、それが各文化圏での差異となって見られるのである。心理療法家は、このように動くものと動かざるものの絶えざる統合を目指しつつ、治療を実践していくものだろう。

分裂病は左脳に問題があるのではないかということが言われているが、僕の罹患している統合失調症も少しずつ脳の一部が原因ではないかというのがわかってきていると聞いたことがある。脳内の様子をモニタリングするバイト(被験者)をやらないかと勧められたことがあるが、研究所が遠かったので断ったことがある。統合失調症の症状である、幻聴などの発作が起こっている時の脳内を詳しく調べられればこれから治る病気になる可能性は高いのではないかと思う。

なぜ心を病むのかという素朴な疑問を専門家の知識をもとに紐解きます。心を病むことは明日誰にでも起こる可能性があります。僕も働いている時は精神疾患を患う人はメンタルが弱いからと一蹴していましたが、まさか自分がそうなるとは夢にも思いませんでした。明日、あなたにも起こりうる心の病について予備知識を!会社で部下を抱えるようになった人もメンタルで悩む部下を持つ可能性は意外と高いので、必須の知識かと思います。

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