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ハーバード・スタンフォード流「自分で考える力」が身につくへんな問題

ハーバードの教育学部で提唱されている「子どもの考えるスキル」を磨くためのトレーニングをもとに、スタンフォード大で出された「考える力」を解く問題、また著者がそれらをもとにして作成した問題などをまとめたもの。言語化スキル、創造力など、これから必要な「考える力」が手に入るようになっており、大人から子どもまで楽しく読むことができます。

論理思考の基本を問う問題

月曜ならばA駅の売店に「本日ポイント2倍」という札が立つ、ということがわかっています。

問題 さて、正しいのは、次のうちどっち?

  1. A駅の売店に「本日ポイント2倍」の札が立っていないなら、今日は月曜ではない。
  2. A駅の売店に「本日ポイント2倍」の札が立っているなら、今日は月曜日だ。

✳︎注意 この問題には「正解」があります。

ヒント 言われている内容以外は考えないこと。

正解は1の『A駅の売店に「本日ポイント2倍」の札が立っていないなら、今日は月曜ではない。』

月曜には必ずポイント2倍札が立っているのですから、立っていなければ、とりあえず月曜日ではありません。目の前にある情報を、思い込みや勝手な連想なしに、言葉どうりに受け止めて考える。それが論理の世界。論理は「考える力」の土台となります。それがクリティカル・シンキングの基本となります。

想像力をフルに!

問題 月曜ならばA駅の売店に「本日ポイント2倍」の札が立ちます。ところが、その日は月曜なのに「本日ポイント2倍」の札が立っていませんでした。何が起きたのでしょうか。可能性として考えられるものをすべて挙げてください。

✳︎注意 想像力をフルに働かせて思いっきり楽しんで考えること。

解答例

その日はたまたまポイント2倍デーじゃなかった/売店に新しいバイトの人が入り、札を立てることをうっかり忘れた/札が誰かに踏み潰されて壊れてしまった/携帯が壊れていた/頭がもうろうとしていて実は月曜ではなかった/携帯画面にあった「月曜日」はよ見間違いだった/実はA駅ではなかった/夢だった、など。

先ほどの論理的思考とは違い、楽しめたのではなかろうか?想像力をフルに使えば様々な可能性を指し示すことができます。ここで大切な指標となるのが説得力。これがないと論理的とは言えません。聞いている誰もが「なるほど」と納得できるように説明する必要があります。根拠として他に何が考えられるか?この主張に反論することは可能か?反論できるとしたらどんな根拠が思いつくか?この主張に、何か隠れた前提はないか?根拠を考える際にはこのような点に留意する必要がある。

いくら想像力を働かせても、この世では人知を超える出来事が起こります。忘れてはならないのは、「自分たちの想像や、これまでの経験・パターンを軽く超える出来事がいつ起きてもおかしくない」と想像することだ。ビッグデータなど過去の経験やパターンから答えをはじき出すのはAIの得意分野、つい先日も司法試験の試験問題をAIが予想してそのうち6割も問題を的中させたなどというニュースが飛び込んできた。この手の試験もAIで分析すれば、難関試験突破も容易になる。入り口は確実に容易なものとなりつつある。これからは試験突破後の姿勢がものを言う時代になるということだ。

ルールを見つける問題

あるお店についての問題です。

あるお店で以下の3つの状況が起こりました。

①なわとびが売れ出しました。

②お弁当が以前ほど売れなくなりました。

③パート募集の広告を出す必要がなくなりました。

この背景には、「  」があったのです。

「  」に入るものを考えてください。

✳︎注意

  • この問題にも「正解」はありません。
  • 「  」には長めの文を入れてもOK。

ヒント①〜③の共通点、連想されるキーワードを探してみよう。

解答例

「この店の近くにあった工場が取り壊され、かわりにファミリータイプの大型マンションが建った」(マンションが建ったことで、小学生が多く移り住み、なわとびが売れ[①]、工場で働く人たちがいなくなってお弁当の需要が減り[②]、パートで働きたいという主婦が増えた[③])

型から考えるのではなく「型」を見つけることを考える。ひと昔前のように、終身雇用は崩れつつありますし、良い大学を出て良い企業に就職すれば安泰なんていうのは絵空事となっています。変化の激しい時代、「これからは〇〇がルールになるのではないか」と予測して行動することが特別な意義を持つ時代に。残念ながら、自分でルールを見つけ出す能力については日本人はあまり得意ではありません。ルールを見つけたとしても、それを効果的に伝えるのは難しくて‥‥という人がほとんど。クリエイティビティを育てるために本書のへんな問題をさらに解いていくことをお勧めします。

センスと創造性を引き出す33のへんな問題。日本人の苦手とする能力を育むにはうってつけです。世の中で必要とされるスキルの第一位である複雑な問題解決能力やクリティカル・シンキングが身につくのでぜひトライしてみてはいかがだろうか?

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