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「植物は<知性>をもっている」から生命には脳がなくても知性は備わっていることを知る

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道端に生えている草花を見ても知性があるようには見えないし、脳のある動物より圧倒的に下位の存在だという一般認識を覆し、さらには、人が花を見て美しいと思うのは、実は人間を操って世界に広がっていく手伝いをさせているのではないかという少々怖い仮説まで飛び出す本。

植物は話もできるし、自分の親族と他者を区別することもできる。また、さまざまな性格も持っている。平和主義の植物、気前のいい植物、誠実な植物、さらには、助けてくれるものには報酬を与え、危害を加えようとするものには罰を与えるという策士までいるのだ。

こういった植物たちの生態を分かりやすく説明していく(メジャーな植物からそうでないものまで)ので、興味深く読み進めることができる。動物が栄養をとるため他の動植物を食べねばならないので、運動能力を発達させてきたのに対し、植物は時給自足する生き物と定義できる。

植物なしでは私たちは生きられない

植物が地上から消えたら人間など高等生物はあっという間に姿を消すだろう。一方植物は動物がいなくなればわずか数年で、動物たちに奪われていた領土を回復するだろう。多細胞生物の総量を100とすると、多少の変動はあるが植物が99.5~99.9%にあたる。人間を含めた動物は0.1~0.5%でしかない事実。これは地球が植物によって支配されている生態系と言い換えてもいいかもしれない。人間が使っているエネルギーの大半が植物由来であることなど、植物にはいくら感謝しても足りない。ロシアの植物学者クリメント・チミリャーゼフは「植物は地球と太陽とをつなぐ環である」と記している。植物は二酸化炭素や汚染物質を吸収し酸素を作り出すことは広く知られているが、そばに置いておくことで、ストレスの軽減、注意力の増大、病気からの早い回復といった効果があることもわかってきた。

20の感覚

よく人間が動けなくなった状態を示して「植物状態」「植物人間」という言葉を使うが、自分自身が動けなくなったら、体を動かせないからこそ、周囲をよく見て、嗅覚を駆使し、音を聞き、感覚全てを働かせ周囲の状況を探ることが重要になってくるだろう。植物はより多く陽の光を多く浴び光合成するために太陽に向かってツルを伸ばし、よりミネラル分の多い土壌に向かって根を伸ばす。厳しい冬を乗り越えるため動物と同じ戦略をとる。すなわち、落葉性の植物は葉が凍ってしまわないよう、冬が始まると葉を落とし冬眠に入る。

植物は自分でもにおいを作り出す。たとえばローズマリー、バジル、レモン、カンゾウなどのにおいは、明確な意味をもつメッセージだ。においは植物の「言葉」なのだ!

こうやって植物たちは情報発信により、差し迫る危険の警告、誘惑や拒絶を伝えている。植物の中にはウツボカズラやハエトリグサのように昆虫を捕食するものや、虫にとって有害な物質を葉に分泌するものまで様々いる。ブドウの聴覚についても触れていて、音楽を聴かせて育てると、生育状態が良くなるなどといった実験結果などもある。そのほかにも、植物は信号を伝えるための三つのシステム(電気・化学物質・水)を持っていてお互いに補い合って機能しているという。

はるかに優れた知性

植物は、私たちが考えているよりもはるかに洗練され、はるかに優れた適応能力と、はるかに優れた知性をもった生物だということだ。

この本を読んで、脳がないから知性がないといった考え方は捨てるべきかもしれないと思った。受粉のため昆虫や鳥の力を借り、障害物を迂回し根を張り、互いに助け合う。このように植物は動物と同じように問題解決することができるのだ。このことから、知性は生命にはじめから備わっているものと考えたほうが良さそうだ。

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