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「情報参謀」を読んでメタデータをひたすら打ち込む政治の裏方の苦労が垣間見えた

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2009年、自民党が大敗して政権を失った夏の総選挙直後から2013年夏の参議院選挙に勝利して政権を完全に奪還さ売るまでの4年間、自民党の「情報参謀(情報分析会議)」としてTVやインターネットウォッチしメタデータ化し情報分析を行った著者。野党となった自民党の悪戦苦闘する姿を時代の潮流と共に情報分析の観点からみた書籍。

情報の連鎖からは誰も逃れられない

「人びと(世論)」と「政治(政治家)」のどちら側から見ても「情報」が唯一最大の結びつきなのだ。情報がなければ、人びとが政治を評価することも批判することもできないし、政治家もどのような行動が期待されているのか(いないのか)の判断のしようがないからだ。

僕たちは選挙ともなれば、様々なメディアから情報を得る。一昔前までは、これが新聞やTVが中心だったが、ここ最近ではインターネット動画配信サービスのYouTube、Ustream、ニコニコ動画などによる討論会や座談会などにも多くの視聴者が集まる。ツイッターにハッシュダグをつけて投稿することで質問や、意見を募るなどということも一般的になった。それを見た視聴者がFacebookやツイッターで拡散し瞬く間に広がりを見せる現象もネットならではだろう。

こうしたTVやネット世論を分析し対策を練るわけだが、データの打ち込みなどは機械に頼るのかと思いきや、意外に人力。ネットのテキストデータは機械で自動化してデータをまとめ上げることができるが、TVとなるとそうはいかない。一人のコメンテーターがしゃべっている途中で他の論客が割り込んで話したりするからだ。そこで365日24時間、情報分析会議のスタッフたちがTVに噛り付いて、どんなトピックが上がったかなど監視しデータを打ち込んでいく。8時間3交代だが集中力を保たなくてはいけないためかなりに重労働だ。

TVCM戦略

2009年の夏、今まで定石と言われていたCMは、仕事が終わって帰ってきたお父さんに見てもらうため、夕方以降に集中して流すというものだったが、民主党は平日の昼間に厚いパターンをとった。「不安を感じているあなた」という冒頭の呼びかけ答えるように工員、OL、学生、お母さんがこちらを振り返る。だから「国民の生活が第一」でそのためには「まずは政権交代」といった内容だ。それに対し自民党は登場人物が麻生氏のみで作りもバック画像は「はめ込み」に見える粗末なもの。CM露出量も民主党が3時間58分00秒なのに対し、自民党は2時間41分15秒ととなり遅れをとった。

2013年夏の参議院選挙に勝利して政権を完全に奪還さ売るまでの4年間、ネガティブキャンペーンを張ったり、ロングヒットトピックの「普天間移設問題」を狙ったり試行錯誤する裏方(情報分析会議)の姿が描かれている。サッカーワールドカップのオランダ戦やデンマーク戦、決勝トーナメントのパラグアイ戦で自民党のCMを流したりもしたがノイジー・マイノリティー(うるさい少数派)からの批判も続出した。大人の事情でTV放送は叶わなかったがYouTubeの自民党公式チャンネルで流したCM(小泉進次郎氏を起用)は再生回数が一晩で7万回、2週間で13万回と「進次郎CM」大変な人気だった。

谷垣総裁のツイッター対話集会

最近、自転車事故で入院中の自民党の谷垣禎一幹事長の後任問題で揺れたが、このころは総裁だった。ツイッター対話集会などで番組開始と同時に#AskTanigaki付きの投稿は1分あたり100件弱に跳ね上がり、90分後の終了直前でも25件前後のツイートがあった。若者のみならず中高年まで浸透しつつあるSNS。(若者は中高年が手を出してきた時点で少し距離を置く姿勢を見せているが…)情報を取り扱う上でこれから何がスタンダードになっていくか素早く察知し取り込んでいく必要があるといえよう。

普段知ることができない政治の裏側がみえる書籍で、バブルチャートなんかも使って説明されているのでTVやネットの動向などがひと目でわかるものだった。

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