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『直感と論理をつなぐ思考法』佐宗 邦威

      2019/03/30

「論理に裏打ちされた戦略があってこそ、成功にたどりつける」――これがかつてのビジネスの常識だった。しかし「他者モードの戦略」は、いたるところで機能不全を起こしつつある。その背後で、いま、マーケットに強烈なインパクトを与えているのは、「根拠のない直感・思い込み」「人に理解できない感性・ビジョン」を見事に手なずけた人たちだ。他方、世の中には、「感性=天賦のもの」であり、「センスのいい人には勝てない」という思い込みがある。戦略デザインファームを運営し、数々のイノベーション創出に携わってきた著者は、これを正面から否定する。本書では、米国の一流デザインスクールでの学びを、より一般的な実践メソッドに落とし込んだ。彼の提唱する「ビジョン思考(Vision Thinking)」の強みは、必ず「アウトプット」が得られることだ。「妄想→知覚→組替→表現」の4段階サイクルを回せば、誰でも具体的な成果を手に入れられる!

あえて論理・戦略からはじめない

「それはただの個人的な妄想だ。まず論拠やエビデンスを示せ」「独りよがりの直感だけでは、ビジネスの世界は生き残れない」「論理に裏打ちされた戦略があってこそ、成功にたどりつける」これがかつてのビジネスの常識だった。

著者が大学卒業後に就職したP&Gでもこの「常識」を徹底的に叩き込まれたそうだ。こうした、データ・ドリブン的マーケティングは、滅多なことでは失敗しないというメリットがある。しかし変化のスピードが早い現代では、論拠やエビデンスを準備するだけのサンプル数を確保している間に、身軽でスピードの速い会社に先を越されてしまうことだってありうる。このパラダイムシフトの牽引役はシリコンバレーなどで活躍するイノベーターだろう。「2035年までに人類を火星に移住可能にする」と言ったイーロン・マスク(スペースX)や「もしすべてのウェブサイトをダウンロードできて、そのリンク先を記録しておけたら、どうなるだろう?」というラリー・ペイジ(グーグル創業者)というような人物はまずは途方も無い妄想を提示し、それを駆動力にして、人、モノ、金を呼び込みパラダイムシフトを起こしているのだ。これからは妄想をする力、それを実現する力の両輪で物事が動いていくのだろう。

「有用性」から解放された「人生芸術の山脈」

「プロトタイピング」「両脳思考」「共創」といったどの要素を取っても、デザイン思考と美的なセンスとのあいだには直接的な関係がないのは明らかだ。デザイン思考とは、万人が創造性を発揮するためのアプリケーションに過ぎない。

まずは物事を進める際、手を使ってプロトタイプを作ることを考えてみよう。今の世の中、まずPCを開いて思案する人が多いのではなかろうか?それでは効率よくアイデアが生まれてこないで、ひたすらPCを見つめる羽目に。まずは手を動かしてみる。例えば、30秒でレゴを使ってもっとも高い構造物を作ってくださいと言われたら、土台をこのブロックで作ってその上に‥‥とかいう前に、ひたすらブロックを上へ積み上げた人の方が高い構造物を作ることができるだろう。「10%の改善よりも、10倍にすることを考えろ」とはよく言ったものだ。

「感情アウトプット」を練習する モーニング・ジャーナリング

たとえば、仕事でEvernoteを使っている人は、Evernoteに個人的な日記を書くと決めても、なかなか上手くいかないだろう。同様に、紙の手帳で仕事のスケジュールを管理している人は、その手帳に日記をつけようとしても、おそらく続かないはずだ。「他人モード」の侵犯を遠ざけたければ、ツールそのものを切り分けるのがいい。だとすれば、やはり、新品のノートを買ってしまうのが、いちばんの近道なのである。ノートを買ったらまず試して欲しいのが、「はじめに」(12ページ)でも触れたジャーナリングという方法である。ポイントをいくつかあげておこう。

□毎日決まった時間に書く。毎朝の仕事前がおすすめ(これをモーニング・ジャーナリングという)だが、なるべく続けやすい時間帯ならいつでもかまわない。

□人に見せないことが大前提。他人の目があるブログやSNSではなく、持ち運びが簡単なコンパクトサイズのノートがいい。

□毎日、決まったページ数を書くようにする。「毎日2ページを埋める」と決めたら、なるべくそれを守る

□お気に入りのペンで手書きする。手書きには集中力を高めたり、心を整えたりする効果も期待できる。ふだんキーボードばかりに向かっている人には特におすすめ(右脳を活用するマインドフルな行為として「写経」が流行している)

□最低でも1ヵ月続ける。これくらい継続すると、かなりしっかりと効果を実感できる。

個人的にはノートは『モレスキンの方眼・ハードカバー』か、『ロイヒトトゥルム ノート A5 ドット方眼』がおすすめです。ジャーナリングの記述内容は「その時に感じていること」が望ましいです。

普段の生活の中で、直感と論理をつなぐ思考法をマスターすることで、妄想を手なずけ、インパクトを生むことが可能に。そのための準備をするための書籍。妄想を単なる妄想で終わらせないところがこの思考法の真骨頂です。

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